落語 西洋茶屋 【#スイーツ】 ボケ学会参加作品
いつもの熊さんと八さん、茶屋を探すが満席だ。
「今日は、人が多いな」
「おい、あそこ空いてるぞ」
新しくできた小屋の看板には『西洋茶屋』と書いてある。
「西洋?」
「伴天連の事かな?」
入ってみると若い娘が働いている。
「お茶をくれ」
「団子もくれ」
茶屋で腰掛ける縁台に座って注文すると、娘が和紙を差し出す。
「ここから選んでください」
「特別なのか? どれどれ……読めない」
「字くらい読めるだろ……読めない」
「飲み物は、珈琲と紅茶です。」
「なんだいそりゃ? まぁそれくれ」
「団子はないのか?」
「蛋糕はあります」
「わからんけど、それくれ」
「スイーツはいります!」
大きな声で娘が奥に声をかけると、まっていたとばかりに飛脚が街道に向かって走って行く。
「どこいくんだ?」
「長崎に行きます」
「長崎……なにしに行くんだい?」
「蛋糕は、長崎でしか作れません」
八さんが一声
「なるほど、江戸のケーキは長崎で作る」
「腐っちまうよ」
熊さんがぼやいた。
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