SS チャリンチャリン太郎 #毎週ショートショートnoteの応募用
私は古書マニアだ。チャリンチャリン太郎という小説を探している。一世紀近く前の作品で戦前よりも古い。伝え聞いた話では空想科学小説の子供向けの本らしいとしか判らない。表紙に少女と電気自転車が描かれている
「またあなたですか ありませんよ」
東京の古書店はあらかた回って見たが断られる。店を出ようとすると年配の老人に声をかけられた。「私が持ってます」喜んで彼の家に行くとなるほど蔵書家だ。大量の貴重な本が眠っていた
「これです」
見れば古めかしい絵柄で少女が自転車?にまたがっていた。そして不許可と赤くハンコが押してある
「内容が不適切なため発禁処分を受けました」
彼が値段を提示すると高額だが購入できる金額だ。私は中身も見ないで家に持ち帰る。本を開くとすべての文字が黒く塗りつぶされていた
「検閲で黒く塗りつぶされるってどんだけエロかったんだ」
俺は今でも未検閲の本を探している。
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