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SS ウィズ・コード【#いやんズレてる】#青ブラ文学部参加作品

 魔術は解明されていない、特に古代魔術は複雑で難解で意味不明だ……

「この本はいくらです」
「1ギルで」

 古書店で見つけた古代魔術本は、たった1ギルで売られていた。ポーションだって5ギルだ。

「そんなに安くていいんですか?」
「誰もそれを読めないんだよ……」

 俺はかけだし魔術師で、やっとダンジョンに入れるだけの力量を認められた。スライムを200匹も倒すはめになった。しかし魔術を使うにしても店で売られている巻物スクロールは、簡単な発火魔法でも50ギルはする。ダンジョンの魔物を倒すためには金がもっとかかる。だから勉強のために買った本は……むずかしすぎた。

「俺は頭わるすぎる……」
「そんな本買っても意味ないわよ」

 同じ学校の幼なじみが馬鹿にした顔で俺を見る。成績優秀でかわいくて、外面そとづらだけはいい。ベッドで横になっている俺を上から、のぞきこむ。

「うっさいな……バイトでもするかな」
「うーん、これは2000年前の本ね、構造が単純なんだけど、やたらに長いし、同じ事を繰り返しているから読むのが大変」

 彼女がすらすらとページをめくる。

「何かを入れ替える本ね」
「攻撃魔法じゃないのか、1ギル損した」
「でもこれ……」

 彼女は高速詠唱こうそくえいしょうをはじめる、一種の速読魔術だ。難解な魔術を圧縮して使えるようにするが……彼女は光り輝くと……さえない男が立っている。つまり俺だ。

「え? なにこれ?」
「うわ! 胸でけえええ」

 自分で自分の胸をもむ。もみもみ、気持ち良くない。

「こら! あたしの胸もむな!」
「これ俺とお前の体を交換したんじゃ……」
「違うのよ。この本、ちょっと間違ってる!」
「だれかが書き間違いしたのか」
「でもこれは危険すぎる……もし王様と魂を交換したら……」

 古代魔法は退屈で意味不明かもしれないが、少しだけ書き換えると絶大な力を得られる。誰もそれに気がつかない。これは禁書レベルだ。

 幼なじみの俺が、俺を変な目で見ている。

「ん? どうした」
「なんか変なの……」
「おいやめろ」
「でもなんか……」

 俺が俺を抱きしめるとベッドに押し倒す。足を使って俺の太ももを押し広げた。ガバッとひろげると股間に……貞操帯ていそうたいがついていた。

「ああ、ポーチに鍵あるからよこして」
「あほか!いきなりHすんな」

 彼女が光り輝くと……魔法が解除されて、幼なじみが俺におおいかぶさっている。

「あ! 鍵は部屋に置きっぱだった」
「お前な……貞操帯ていそうたいつけてるのか」
「当たり前でしょ、Hなモンスターがいたらどうすんの」
「なるほど」
「あとHな冒険者がいたらどうすんの!」

 ほっぺに痛烈な一撃が走った! お前が襲ったんだろ、ずれてるぞ

xxx

 俺は彼女にレクチャーを受けて攻撃魔法の本を買って勉強する。呪文の一部だけを書き換えて強化を覚えた。だが俺は高速詠唱こうそくえいしょうを覚える金もないので、ひたすら早口で呪文を唱える。時間がかかりすぎるが、それでもモンスターを倒せた。

 今は彼女と仲良くダンジョンに入って稼いでいる。あの魂交換呪文はバグで使うのは危険すぎた。だから封印したままにする。

 今でも貞操帯ていそうたいをつけた彼女を想像すると興奮した、俺は……変態……。

#いやんズレてる
#青ブラ文学部
#RPG
#ファンタジー
#ウィズ・コード
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お題は超プリン体さんから、提供していただいています。

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