SS 半笑いのポッキーゲーム#毎週ショートショートnoteの応募用
「ポッキーゲームしろよ」
「闇子とポッキー、股間もポッキー? 」
ゲラゲラと笑う同級生の男女は僕たちを上から見下ろす。美也子は、ボブカットだが毛髪のボリュームがあるのか顔を隠すような女生徒だった。インキャなので闇子とからかわれている。
「もうやめよう……」
クラスメイトの半笑いのポッキーゲームは、イジメでしかない。体力も無い僕はいじめの対象に、ならないが無視されていた。学校主催の夏合宿中で、部屋は深夜でもまだ蒸し暑い。テンションが上がった彼らは異様に興奮していた。彼らはペアを組んで夏の経験を楽しみにしていた、僕らはその前菜みたいな扱いだ。
「いいからヤレよ、ついでに経験しとけよ」
目の前に避妊具が投げられた。僕は美也子が泣き出すと予想していた……
「こんな話を知っている? 」
美也子は顔を見せないまま怪談を話す、江戸時代には首引き相撲があった、遊女と客が戯れで首にひもをかけて引き合う。勝ってば、遊女の望みを一つだけかなえる。
もちろん男の方が強いから遊女の望みはかなえられない、だがたまたま勝った遊女が居た、彼女は今の苦海から助け出してくれと頼んだが、客は断ると遊女はひもを使って首をくくった……
「男女の仲なんてそんなものよ? 」
美也子が面をあげる。美しいが澱んだ顔は白く塗りつぶされて……
ドン!
大きな音がすると部屋が鳴り響く、全員が総毛立って部屋から逃げ出す。僕は唖然としながらも美也子の真っ白な顔を見つめる。
「あら? ごめんなさい。化粧パックにびっくりした? 」
高保水フェイシャルシートはお面のようにも見えた。シートをとると透き通ったような肌の美少女が笑っている。ポッキーの箱から一本取り出すと、小悪魔のように笑う。
「ポッキーゲームしたい? 」
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