SS エモすぎる謎ねぶた #毎週ショートショートnoteの応募用
日本には奇祭がある、私は青森で裏ねぶたの取材をしている。フリーライターの田村が手招きをしている。
「神上清恵さん、こちらです」
「この……部屋なの?」
「そうです、裏ねぶたです」
古くほこり臭い土蔵の中で、ミニチュアのねぶたが置かれている。小さく灯りが光っている。
「昔は和紙を敷いて、下に提灯を置いて見物したようです」
今はLEDで幻想的に見えるねぶたは、昔の殺人事件を描写していた。
「これは飢饉で子供を殺した母親、これは妻を寝取られて、上役を殺した武士……」
「イギリスの蝋人形みたいな感じね」
「悲惨な歴史を見て楽しむ、人間の本能ですよ」
じっと見ていると吸い込まれるように感じる。気がつくと、巨大なねぶたが目の前にある。血まみれのねぶたの迫力は凄まじい、私はカメラで写真を撮りながら歩きまわった。
「神上さん」
肩をつかまれてゆらされる、私は気がつくとカメラを手にして呆然と立っていた。
「ごめんなさい、夢みたい」
「お疲れですね……」
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「この写真いいね、実物大に見えるよ」
編集からほめられる、エモすぎる謎ねぶたは雑誌に掲載されて好評だった。
不思議なのは、その写真だ。まるで実物大のような大きさで写っている。
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#怪談
神上清恵さんは、こちらのシリーズで作ってます。
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