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SS 占い師マイカの毎日:獅子1【ワールドザワールド】

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あらすじ
平行世界に含まれる大樹の世界で占いの店を経営するマイカ。異世界のカードは絵のシンボルが実体化する特別な物だった。調和のカードから出現した天使は、マイカ達に手助けできると告げた。

長く占いをしているマイカは、たまにカード側に操られていると感じる時もある。吸い寄せられるように運命を見てしまう。目の前に居る幼いヒサギは異世界のカードの力を引き出している。

「…私は困りません…愛娘 アイニャンさんは困ってます」

狐耳の少女の愛娘は、ヒサギと共に地下世界にある鏡像世界へ旅をした聞いた。地下世界は鬼達が住んでいる。両隣にある鏡像世界は魔物が住む場所だ。そんな恐ろしい所を旅するように見えない娘。

「愛娘は強くないの?」
私は不思議な感じがした。前回の異世界から侵入をした魔物も彼女が活躍して倒したと聞いている。

ヒサギも不思議そうに
「悩んでるみたいで力が欲しいとか?」
力を持てばさらに上を目指したい。判る気はした。天使が告げた。

「私の力が欲しいときは、また願ってください」
かすれて消える天使をヒサギは呆然として見ている。私は説明する。異世界から来たカード達がこの世界で人格を持つ事、そして力を使える事。ヒサギはふんふん言いながら可愛く聞いている。本当は抱きしめたいが、ぐっと我慢する。お客さんに手を出すとか厳禁だ。

私は店を閉めてヒサギの家に行くことにした、異世界からのカードを鞄に入れる。瓦屋根が続く道を歩みながら、ヒサギを見ていると本当に力強い。彼女は成長している。今回のカードの力でさらに成長する、私は予兆を感じる。

彼女の家は大きく大きな庭がある。玄関から庭に回ると愛娘 アイニャンが力を使いながら鍛錬していた。

「えぃえぃ」

若くてカワイイ声が響く。私もこのくらいの歳の頃はもっとピチピチしていた……過去の事を考えて苦笑いをした。

「私も歳ね」
「マイカさんは、お若いですよ」

ヒサギに慰められながら近づくと鞄からカードが飛び出す。空中に浮かんだカードは明るく光ると地上に猛獣と女性が出てくる。

「ややっ魔獣ね、私が退治するわ」
愛娘 アイニャンが嬉しそうにカードから出現した魔獣に突撃した。力が有り余って仕方が無さそうだ。魔獣は驚いたように女性の影に隠れた。臆病なのだろうか?カードから出現した女性は愛娘の前に立ち塞がると片腕で吹き飛ばす。

「あいててててっ」
愛娘 アイニャンは吹き飛ばされて地面に座り込んでいる。カードの力を把握できないが、生身の人間よりも強い。もっとも愛娘 アイニャンは狐耳の少女で人の姿をしているだけ。
「私は【力者】と言います、いきなりで驚きました」
カードの女性は軽いドレス姿で戦闘に適した格好ではない。

私は
「ごめんなさいね、こちらの住民は早とちりする娘も居るの」
「問題ありません。この娘さんの力で引き寄せられました」
愛娘 アイニャンに近づいて手助けしながら立たせる。
「あんた強いね、仲良くしようね」
手を出す愛娘は【力者】の手を握ると力を入れ始めた。力比べだ。私は負けん気に驚く。

平気な顔している【力者】が力を入れた。愛娘 アイニャンは苦悶の表情でその場に座り込む。

「おい、そのくらいで勘弁してやれ」
タテガミを持つ魔獣はライオンだ。この世界にも存在している。愛娘 アイニャンの心配しているようだ。
「お前の馬鹿力じゃ娘が壊れるぞ」

【力者】は愛娘の手を離すとライオンに近づく。彼の頭をつかんでギリギリと力を入れる。今度はライオンが苦悶の表情になる。

「あ……もうやめてあげて」
私はたまらず止めに入いる。

続く

力3




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