![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/124267737/rectangle_large_type_2_0e452be326dd9c399f5ece2af6dd3650.jpeg?width=1200)
ご免侍 二章 月と蝙蝠(二十話/三十話)
あらすじ
銀色の蝙蝠が江戸の町にあらわれる。岡っ引き達が襲われていた。芸者のお月が一馬に傷を負わせる。
「琴音は、お家騒動に巻き込まれていそうですが……、城を目指す予定です」
「西の城だな、行けば判るのか……それとも」
「お爺々様、しばらくは今のままで」
「琴音を手放すのが惜しいか」
「私は、琴音への恋慕はありません」
「器量よしだろうに」
「彼女には目的があります、それを邪魔するつもりはありません」
一馬の疑念は、琴音がもっと他の人を頼らない理由だ。大烏城の城主に会うのが目的ならば、書状を書いて送り、出迎えてもらえばいい。それも出来ないと言うならば、城内にいる勢力が敵と味方に別れていると想像できる。
(誰も信用できない、だから俺にしか頼れない……)
偶然だ、一馬がいなければどこかに連れ去られ殺されていたかもしれない。一馬を信用するしかなかった。一馬は哀れな運命の琴音を、守るのが天命に感じていた。
「お前もたいがい親父に似てるからな、無理するなよ」
「おねがい、いたします」
畳に額をつけて深々と頭を下げた。
藤原一龍斎は、孫を見ながらにやりにやりと笑っている。
「なに、のらくらとごまかす、あとお前の分だ」
老人は懐から小判の包みを出すと孫の前に置く。
「前の仕掛けの金ですか」
「ああ、どうやら南蛮からの密輸が横行して怪しい薬が江戸でも流行っている。天狼は、それを止めたかったのだろうな」
![](https://assets.st-note.com/img/1702293677813-HShmZfofXu.jpg?width=1200)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?