SS 下道一組 #毎週ショートショートnoteの応募用
「およしなさい、旧道は危ないですよ」
一般道とは別に道がある、獣道とは違うが普段は通らないのが下道だ。俺は凶状持ちで普通の道を歩くのは危ない。島から帰ってきた俺はイレズミが腕にある。
「道を外れた俺様は裏道、下道なんでもござれ」
自嘲気味に都々逸を詠う、下手くそすぎて笑う。整備もされていない道は雑草と石だらけで危ない。一人で歩いていると後ろから声がする。
「こんな場所に旦那さん、一緒にいきませんか? 」
鳥追笠をかぶった玄人筋の女が近寄る、こんな場所に? とも思うが俺も同じだ。一緒に行くことにする、下道一組になり歩き続ける。
「姐さんは、どこに向かいます? 」
「地獄だよ」
笠から顔を出す、俺が殺した親分の情婦だ。体当たりをされると、脇腹を小刀で刺される。ごろごろと下道から落ちて行く……
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「もう大丈夫だよ」
俺は坊さんに助けられた、傷が癒えて坊主になる。今では街道を歩ける身分だ、たまにやさぐれた若い奴を見ると説教したくなる。
「道を外れるなよ、外れたら終わりだ」
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