SF 選別
暗い部屋のブラウン管は、歪んだ映像を映している。私は選ばなくてはいけない。
かすれてよく見えない映像の中の男達は、不安そうに見えた。私がボタンを押す事で男は死ぬ。それが判っているかのように、おびえている。
(男が増えすぎたせい……)
男達は無作為に街から拉致をされて閉じ込められた。もちろん普通に働いている男は選ばれない。
女は希少で貴重だ。そんな女に害を与える可能性があるならば、駆除しなくていはいけない。だから女が選ぶ。
男達は何が起きるのか知らされていない。それでも判るのだ。自分たちが社会に不要だと。
震える指で、ボタンを押す。一日に一人だけ。
(この男だ……)
スタイルが良くて、顔が美しい。そして女に寄生して生きている男。ボタンをゆっくりと押す、ジリジリとどこかでベルがなり、男は部屋から連れ出される。カメラに気がついて怒鳴っているが音声は無い。
他の男達は解放される。ドアが開くとゆっくりと外に出て行く。臆病で無能な男達。
連れ出された男は、精子を絞れるだけ搾り取られて死ぬだろう。精子は保管されていつか使われる。
部屋を出て高い塔から街を見下ろす。よどんだ街は、あてもなくさまよう男達が一杯いる。
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