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SS 繁殖 猫探偵05

あらすじ
奇妙な機械が歩き回る都市では動物と人間が会話しながら生活していた。人間の娘のニーナを助けると猫探偵のロイは家で飼う事にする。

「仕事だ」
主任が机に座っている。鉄製の体はごつい。動作は遅い。若い頃に彼は金で肉体を売り渡した。それから成功したが、機械の方がメンテが楽なので戻る気がない。

主任からの依頼内容は、電脳空間で捜しモノだ。本来はハッカーの案件だが、依頼主はリアルの探偵を要求した。探偵を信頼する古いタイプの人間も居る。

「ひさしぶりのダイブか…」
俺は専用のダイブIDを貰う。家に戻ると部屋で飼っているニーナが近づく。

「ロイ。夕飯は何にするの?」
最近は外食だ、金がかかる。俺はカリカリだけで満足するが、人の娘にはキツイ。

「今日はダイブしてからレストランだ」
ニーナは一緒にダイブしたいと言い出す。俺は一緒に行く事に同意した。なんでも馴れだ。いつのまにか俺はニーナを助手のように扱っていた。

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専用のダイブ室が自室にある。俺はニーナに抱かれながら一つしかない椅子の上でダイブを開始する。ダイブは簡単だ。体にあるプラグにダイブプラグを差し込むだけ。ダイブプラグはある程度成長をすると手術で体に穴を開ける。

プラグ端末にIDを入れると指定時間以内までは自由に活動できるので手軽だ。パスワードは生体情報だ。プラグを差し込んで、目をつむって開くと電脳空間に居る。

「まるで本物みたいね」
「夢と同じだ、脳が錯覚する」
ニーナと街を探索する。ネットの広大さはケタが違う。生物を見かけない事が普通だ。

「誰を探すの?」
俺はニヤリと笑う
「ネコだよ」

ニーナは驚いている。電脳ペットが消えた。金持ちの依頼主はなにかのイベントでしか手に入らない特殊なペットを喪失させた。再発行ができないため、依頼された。

「ここか…」
ネコの習性だ。リアルと同じ行動をする電脳ペットは、安全な場所で子供を産んでいた。あまりにリアルすぎるため、他の電脳ペットと子供を作った。俺には野生の勘がまだ残っていた。探す事が出来た。

「かわいい」
希少性のある電脳ペットが同じ性質の子供を大量に産んでいる。その子供達も瞬く間に子供を作る。大きなコロニーを作り上げていた。

「もうどれがオリジナルか判らない……」
俺は子猫を拾うと悩んだ。

終わり


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