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雑多な怪談の話

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#ミステリー

SS 南米での出来事【友情の総重量】#毎週ショートショートnoteの応募用(800文字位)

 いつものように古い喫煙室でタバコを楽しむ。薄暗いランプの下で紫煙で広がる。まるで霧のように漂う中を一人の男が近づく。 「やぁ、調子はどうだい」 「南米の鉄道事業は失敗した」  彼を友人と呼べるなら友人なのかもしれない。たまに金を出して支援してくれるが、金を儲けたいようには見えない。 「今日も、話を聞かせてくれ」 「ああ、そうだな『友情の総重量』の話をしようか……」  自分も下見で南米に行く事はある。やはり眼で見ないと判らない。その時は幼い頃からの友人と南米の奥地に行

SS 人形遊び【#合わせ鏡】#青ブラ文学部

 おかあさんはいそがしい、だから一人で遊ぶことにしている。リビングでお人形遊びをする。 『おかあさん、おべんとうがないよ』 『おかねを渡すから、かってたべて』  お父さん人形とお母さん人形で、今朝あったことをまねする。 「なにしているの」 「おままごと」  ママは笑いながらキッチンに戻る。お父さんが帰ってくると夕飯で喧嘩を、はじめた。弁当くらい作れ作らない。寝室でも喧嘩をしていた。 xxx 「それでママは、どこに居るわかる?」 「知らないの」 「娘は……その……心

SS 甘い恋人【アーモンド&バズる&数独】三題話枠

「マルチグレインパンよ」  アーモンドの臭いがする、彼女はお菓子作りが楽しいのか、やたらと俺に試食させる。太ってきた。なんか虫さされなのか肌が痒い、腕をこすってると彼女がアーモンドケーキを切り分ける。 「はい、あーんして」 「自分で食べるよ」  数独のパズルを置いて自分で食べる。最近は専用の数独端末があるので無限にできるので重宝している。ケーキを食べながら甘みと苦味のバランスがいいのか口の中で香りが広がる。鼻に甘くアーモンド臭が残る。 「おいしいよ」 「ありがとう」

SS ブーメラン発言道 #毎週ショートショートnoteの応募用

「戻ってくるの?」 「大丈夫」  妻は不審そうに俺を見ている。出張で遠くの島に転勤になると妻は残ると宣言する。当たり前だ、不便で閉塞した土地に住みたいわけがない。「戻ってくるの?」という言葉がブーメランのように頭にこびりつく、本当に戻れるのか…… 「いらっしゃいませ」  南洋のホテルで出会った受付の彼女は華やかで美しい、住む場所で人柄が変わるのを実感する。明るくて開放的で親切な彼女は理想的な女性だった。 「戻ってくるの?」 「大丈夫」  彼女から、裸身の肩にやさしくキスさ

SS みんながぐっすり寝たら、わたしたち、おフトンの妖精の出番なのです。 #ストーリーの種

夜は短いの。私たちが活動できるのは数時間しか無いわ。みんながぐっすり寝たら、わたしたち、おフトンの妖精の出番なのです。この世界には様々な妖精が居るけど私たちは人間に夢を見せるための妖精よ。 この村は本当に貧しいの。だから夢の中だけでも幸せになって欲しい。今日はパン屋のハンスさんの夢ね。私は彼の耳から入ると頭の中に侵入するわ。 「あら 耳の奥の扉に鍵がかかってる」 たまに居るのよね、夢なんか見たくないとか言う奴らが。こっちはボランティアなんだから無料なのに意固地になって見ない