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雑多な怪談の話

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2023年4月の記事一覧

SS どこもお遍路 #毎週ショートショートnoteの応募用

「闇遍路って怖いよ」  お遍路は修行。神社仏閣を回り功徳を得る。闇遍路は逆だ、呪い打ちと呼ばれる恐ろしい儀式。凶悪な犯罪が行われた場所や呪われた塚を巡る。 「あいつは許さない! 」  怨嗟と呪いの言葉で恋人の裏切りを罵る。心変わりは仕方がない、二股も許そう、だが私が別れようとすると引き留めた、土下座をして泣いた。私をいつまでも縛る。貴重な時間が失われた、許さない。私はネットで調べた呪いの方法を試す。  その日から休日に闇遍路の場所を探す。グーグルマップで場所を特定して、そ

SS 恋の幽霊 【行ったり来たり&将棋倒し&応募】三題話枠

「この小説を応募するの」  柏原三咲は、にっこりと笑うとかわいい、俺が試し読みをする彼女の小説は最近の流行なのか恋物語。クラスで出会った学年で一番かわいい女の子が、隣に住んでいるのは奇跡に感じる、小説が好きな俺は彼女の小説の感想を求められた。 「出だしから面白いよ」 「ありがとう」  幸せそうに笑う彼女は、不幸が訪れるとは思えない。俺と彼女の関係は、彼女が書いた小説と同じ、普通の男子高校生と頭が良いヒロイン、だったらよかったが現実は違う。親友の恋人だ。共通点は普通の男子高

SS 朝なのに、夕暮れの匂いがした。#ストーリーの種

警告:グロテスクな表現がありますので、苦手な方は読まないでください。  外は暗い、雨が降る外は朝なのに、夕暮れの匂いがした。雷が鳴ると異臭が漂う。轟々と雨が降り続く、小屋の中も薄暗いままだ。昨日の獲物は足を伸ばして動かない。 「かなり暴れたな、傷だらけだ」  男は腕を見る。赤くミミズ腫れが出来ていた。男は野盗で小屋を見つけて休むことにする。彼は押し込み強盗だ。家人がいれば殺して金目の物を盗るが、山奥の小屋にあるわけもない。 「小娘は死んだか? 」  小屋には一人の娘し

SS ブーメラン発言道 #毎週ショートショートnoteの応募用

「戻ってくるの?」 「大丈夫」  妻は不審そうに俺を見ている。出張で遠くの島に転勤になると妻は残ると宣言する。当たり前だ、不便で閉塞した土地に住みたいわけがない。「戻ってくるの?」という言葉がブーメランのように頭にこびりつく、本当に戻れるのか…… 「いらっしゃいませ」  南洋のホテルで出会った受付の彼女は華やかで美しい、住む場所で人柄が変わるのを実感する。明るくて開放的で親切な彼女は理想的な女性だった。 「戻ってくるの?」 「大丈夫」  彼女から、裸身の肩にやさしくキスさ

SS 文芸サークル【数え歌&過半数&学生証】三題話枠

「一つとや 一夜明ければ 誰も居ぬ 誰も居ぬ」 「おいやめろ 辛気くさい…………」  同窓会で集まって飲むの六年ぶりだろうか、文芸仲間で小説を書くサークルに属していた俺は、会社の仕事がいそがしくモノを書く事も忘れていた。  数え歌を改変して歌うのは怪談が好きな、Sだ。彼はやたらと怪奇物を好んで書いていた。誰もが彼を変人として扱ったが、小説仲間はみなが変人みたいなものだ。 「Mは来ないのか? 」  女性のMはサークルの紅一点で、童話が好きな彼女は子供用の作品を量産していた