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雑多なSF設定

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2023年9月の記事一覧

SS 明日のために【月めくり】 #シロクマ文芸部

 月めくりにそっとふれる。白い壁にかかってる月めくりは手作りだ。月めくりはもう売られていないから自分で作る。 「そろそろね」  月めくりに大きく×を書く。サインペンも尽きてきた。あと一枚めくれば世界が変わる。  昔の事を思いだしながら部屋の中をゆっくりと歩む。足が萎えて早く歩けない、学生の頃は駅の階段を駆け上がれた。 「春菜」  駅の階段を昇ると後ろから声がした、白く細い手が左右にふられる、友達の美野里の長い髪が流れるように肩にかかる。ブラシで整えられた黒くつややかな髪

SS 交流ランプ 坊ちゃん賞習作用

 孤独感が強まると実験準備室に居座る。何するわけでもないが、居心地が良い。大野ゆりかは、汚れた窓ガラスを見る。自分の顔が薄く映っていた。人付き合いが悪そうな、無表情な顔だ。 「帰りは閉めてけよ」  私に鍵を渡すと、先生は教員室に戻る。先生は残業でレポート書いている、鍵は帰りに戻すつもりだ。  準備室は古く、昭和くらいの器具が使いもしないの置かれている。名目上は実験クラブだが部員は私しかいない。 「……宿題でもしよう」  家にも戻りたくない、そんな時は孤独を守れる居場所で

SS イライラする挨拶代わり #毎週ショートショートnoteの応募用

 イライラする挨拶代わりマシーンが研究室に立っている。博士と助手が実験の準備を始めていた。 「博士、これ何に使うんですか? 」 「何ってストレスを発散させるために使う」  ロボットは女性にも男性にも見える。 「博士、これまさかスケベな目的のためじゃ……」 「現代人はストレスも多い、このマシンで癒やしてもらう」 「癒やすってナニを癒やすのですか? 」 「ナニってナニだよ」  博士が笑いながら助手にロボットの前に立たせた。 「さぁ突っ込め! 」 「えーっ、むずかしいな」