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雑多なSF設定

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2022年12月の記事一覧

SS 機械になる日【クロスワードパズル&脳年齢&三重奏】

「脳年齢が落ちてますね」 医者は事実を語る。老化で生体の脳の機能が落ちる。切り替えの時期が来る。生体の脳が消える恐怖はある。記憶が受け継がれると言うが、『AがBである』という認識をデータとして記憶して機械に移植する。複写すれば自己が保てるのか?疑問だ。 「問題ありませんよ、自己認識のチェックで機械脳と生体脳は同一と証明されています」 医者は気軽に言う。もちろん構成が同一ならば本人だ。私は家に帰る。医者からもらった「生体脳除去同意書」の紙をテーブルの上に広げる。 「あな

SS 朝の時計 #爪毛の挑戦状

「起きて」 体を揺らされる、夢を見ていたが忘れてしまう。俺は時計をつかむとまだ朝の六時だ。ベッドから起きる。朝食の用意をする。昨日買った食パンをレンジに入れてチンする。朝の時計は電波時計で正確だが、鳴る前に起きてしまう。目覚ましの意味が無い。 仕事場でパソコンを使いながらデータを処理していると夢の事が気になる。 「どんな夢だったかな?」 夢を見ている時は鮮明だ。夢の中で生きている自分がいる。中断されるとそれが霧散する。現実が消滅して後には何も残らない。 「夢みたいもんか