SS 助手席の異世界転生 #毎週ショートショートnoteの応募用
夜のドライブは下心を隠すのに苦労した。
「どこを走っているの」
「近くの山頂で夜景が見えるんだ」
今は車を静かな場所に移動させたいだけだ。奇妙な少女は腕を上げてヒッチハイクをしていた。耳が少しばかり尖っているのとハーフのような白い肌は作り物に感じる。
「なにかの仮装なの?」
「よく言われる……」
ぽつりとつぶやく少女の横顔を見ながら、あの時にどんな顔になるのかを想像するとハンドル操作を間違えそうになる。
「あぶないわよ……」
「ああ、ちょっと眠いかなぁ、仕事に