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創作民話 関係

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2022年5月の記事一覧

創作民話 彼岸花

城下は暗くなり人の出入りは無くなる。 「そろそろ木戸を閉めるか」 提灯をもって木戸の扉を閉めようとすると 一人の女がいる、幼なじみのおつゆだ。 「おつゆさん、どうした通るのかい?」 「今日も客が取れなくてね」 むしろを丸めて持っている。 夜鷹が職業だ 胸を患っている(わずらって)のか、咳をしている 「いいぜ、通りな」 おつゆを通すと近寄ってくる 「そろそろ銭が無くてね、どうだい」 おつゆとは、長屋で一緒に育った。 元は武士の娘だが、仕官できずに父親は亡くなる 母親も働い

SS 旦那と毒【創作民話】

お里は、旦那が嫌いだ。 ろくに仕事も続かない旦那を、なんとか殺したいと考えていた 棒手振りで魚でも野菜でも売ればいいのに それが出来ない、顔はいいから客受けは良いのに、 だらしがない性格で仕事が続かない 「おい飯まだかよ」 今日も仕事にあぶれたのか、ごろごろと狭い長屋の部屋で寝ている。 邪魔で内職も出来ない。 外に出てお碗を洗おうと井戸へ行くと、お松が居た。 旦那が死んでからさみしげな彼女に声をかける 「どう調子はいいかい?」 「ええ、最近は、あの人からぶたれる事もないの

創作民話 兄が居る井戸

私の兄は井戸に居る。古い井戸からのぞき込むと兄が顔を 出して私を見る、怒ったり笑ったり悲しんだり、そんな兄 を慕っています。 「吉乃(よしの)もそろそろ嫁ぐのか?」 双子として生まれた兄は、私に似ているのかやさしげな 顔立ちだ。でも武家の男子として剣術で鍛えられた体は 私より大きい。 私に尋ねながら母が作ってくれたお茶請けのお饅頭を口に 運ぶ。甘い物が好きなのは私と同じ。 双子は不吉と言われたが、父も母も私達を一緒に育てた。 兄とは仲が良く、ケンカもしたことは無い。 年

空白大賞:我が輩は猫である

自分も作成してみました #itioshi