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【旬短歌】審査員まど夏賞

思い起こせばみん俳に短歌部門ができた時から
なんだかんだでたずさわらせていただきました。

今回も私の好き一本で選んだ
バリエーションに富んだ12首です✨


⛱まど夏賞1位

夏の夜  一等星で綱渡り 
サマードレスの裾ひるがえして

碧乃そら

現代の織姫は軽やかに天の川を渡って
彦星に会いに行くのだなぁと思いました。
織姫は意外とお茶目で、会えない時間を
充実させているかも。
いまや電子機器で気軽に連絡を
取り合っているかもしれませんね。

歌詞のような31文字でストーリーが
想像できるところが素敵だと思いました。


⛱まど夏賞2位

好き?なんて真面目な顔で聞かないで
チェリー頬ばる幸せごっこ

すうふ。

参加記事のヘッダーに合わせたかのよう。
「ごっこ」で結ぶことで、この二人が
どんな関係なのかどんな年齢なのか
何パターンか頭に浮かびました。

ひとつひとつの単語から
いろいろな想像が膨らみます。


⛱まど夏賞3位

対流に任せて茹でる素麺を
じつと見てゐるだけの炎昼

ぽこまる(外村ぽこ)

暑い、ただただ暑い…

鍋の中は素麺が対流するほど
湯だっている。

鍋の中、外、自分。
暑さで境目がなくなって
しまったかのよう。

ほぼ無の境地。


⛱まど夏賞4位

さっきまで友達だったはずなのに
波がなにかをさらっていった

しち

一読してキュンキュンしたのですが
この御歌もどんな感じの友達なのか
さらっていったのは何なのか
いろんなパターンが想像できました。

どのパターンでもキュンキュンしました。
若いっていいなー。


⛱まど夏賞5位

めっちゃめちゃめっちゃめちゃめちゃめちゃ
めっちゃめちゃめちゃ
めっちゃめっちゃあおぞら

Momoco

めっちゃの繰り返しでトランス状態になり
自分の本質へ到達するほどの浮遊感があります。

吸い込まれそうな空の表現なのに
深く潜りこんでゆくような不思議な感覚。


⛱まど夏賞6位

新幹線 乗りて向かうは 京の街
夏来たるらし 宵山の夜

そら

週末なのかな。仕事終わりの解放感と
アニメのエンディングみたいなシーンが思い浮かびました。
新幹線(運転席目線)が上り勾配を京都へ急ぐ。
景色は脇に飛ぶように流れていく。
その映像がこれから見る宵山への期待感を高めている。
妄想です。


🚢7位以下順不同

君という花火が空に広がって
消えずにさらに大きく燃えた

naomi

一瞬にして消えてしまうとか
ものさびしい終わり方じゃないところが好き。
スターマインの恋。
終わらない夏。


幸せへ向かって漕いだ自転車の
ペダル南の空は青くて

つる

「山のあなた」のように
「涙さしぐみ かへりきぬ」ことはないでしょうね。
いまも最高。目的地も最高。
楽園の只中にいる。


気づかないフリをしたのはまだ君の
優しさだった思い出の夏

山根あきら

パッと浮かんだのは黒歴史ですが
記事に埋め込まれたYouTubeを見ながら
浮かんだのは上手な女の子との恋。
告白するように誘導されていたのかも。

一気にあの夏へ飛べます。


コンビニに駆け込み買った小さめの
ビニール傘がまだ壊れない

SF

ものを大事にされる方なのですね。
最低限の機能は満たしているだけに
気軽に切り捨てるのは気が引ける。

もっといい傘を置きたいのに
間に合わせで手元に寄せてしまったことが
悔やまれます。


いつまでも悲しいままでいいのだと
枯れることない造られた花

リコット

辛いですね。

客観視すると、風化しなくても
時間は経過しているのだから
手放すタイミングは自分次第。

造花とて生花同様に扱えば
手放しのタイミングは
自然と訪れるのかな。

どうしたらゆるされるのか
真剣に考えてしまいました。


天頂にこと座のベガをおく夜は
きみに借りてた SPITZ を聴く

Sen-sing

夏の大三角のひとつ、ベガは
ほぼ天頂を通っていくと知りました。

SPITZの「涙がキラリ☆」は
七夕の日にリリースされたそうですね。

草野マサムネさんの透明な声が
天の川を越えてぼくときみを繋ぐ
光となるのでしょう。

おっしゃれー☆


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