期待の新刊「教育のワールドクラス――21世紀の学校システムをつくる」

経済協力開発機構(OECD)教育・スキル局長のアンドレアス・シュライヒャー局長による初の単著『教育のワールドクラス――21世紀の学校システムをつくる』が出版されるということで、とても期待しています。

これからの教育や現時点で明らかになっている教育に関する知見等、自分が教育に関する課題認識を整理するためにもこの9月にじっくりと読んでみたいと思います。

以下は、Amazonの内容紹介文より引用(強調は筆者)。
「数々の成功例を検証し、私たちに多くの学びをもたらしてくれる」という紹介に早く読んでみたいとわくわくします。

今日、簡単に教えたりテストしたりできる事柄は、コンピュータや機械で容易に行われるようになった。こうした21世紀の変化をコントロールし、よりよい世界を構築するためには、私たちの想像力、認識力、責任感こそが必要となる。これからの学校は、生徒が自ら考え、職場でも地域でも、共感する心をもって他者と交流するようサポートしなければならない。学校は、生徒がゆるぎない善悪の判断力と他者の意見を尊重する力を育む場となるべきである。

その実現に向けて学校は何をするべきか? OECD生徒の学習到達度調査(PISA)の創始者であり、教育政策の世界的権威であるアンドレアス・シュライヒャーは、70以上に及ぶ国や地域の教育リーダーたちとともに、未来志向の教育政策の立案と実践に取り組んできた。言うは易く行うは難しの教育改革ではあるが、本書『教育のワールドクラス』においてシュライヒャーは数々の成功例を検証し、私たちに多くの学びをもたらしてくれる。といっても、よその学校や国の解決策をそのまま紹介するのではなく、様々な国や地域の成功例を丁寧かつ冷静に観察することで、どのような場合にどのような事例が成功するかを導き出している。

推薦の言葉も著名な方々から届いています。(強調は筆者)

■ 推薦の言葉 ■

世界屈指の知識を持つ教育者によるタイムリーで先進的な本書は、興味深いデータ、鋭い観察、豊富な知見に基づいて全ての子どもたちのための効果的な教育の道筋を示している。
――ハワード・ガードナー(ハーバードプロジェクトゼロ・シニアディレクター)(『心の枠組み:多重知能の理論』著者)

子どもたちが21世紀の課題に対応する力を身につけるために最新のテクノロジーと人間の深い学びをいかに連携させるべきかを示唆する健全かつ賢明なヴィジョン。
――アンソニー・セルトン卿(バッキンガム大学副総長)

アンドレアス・シュライヒャー氏ほど教育に精通している人物はこの世にいないと断言できる。本書は彼の20年に渡る知見の初の集大成である。『教育のワールドクラス』は、政策立案者、教育界のリーダー、今日の世の中にふさわしい学校づくりについて知りたいと考え、全ての子どもたちに自ら考えることを教えたいと願うあらゆる人々の必須文献だ。
――アマンダ・リプリー(ニューヨークタイムズ・ベストセラー『世界一賢い子どもたち』著者)

子どもたちのよりよい学びを真剣に考える全ての先進的リーダーは、データに基づく本書『教育のワールドクラス』を、必読文献の筆頭に置くべきだ。
――ジェブ・ブッシュ(第43代フロリダ州知事、優良教育基金創設者・会長)

シュライヒャー氏は世論に耳を傾け、あらゆるレベルの様々なリーダーたちと連携して解決方法を模索することにより、重要な問題点すべてを掌握している。
――マイケル・フラン(New Pedagogies for Deep Learningグローバル・リーダーシップディレクター)

……全ての人が経済的機会を得られる未来を築きたいと願う者の必読書。
――クラウス・シュワブ(世界経済フォーラム創立者および議長)

内容構成は下記の通り。個人的には特に第3章「優れた学校システムは何が違うのか」を確認したいところです。届くのが楽しみな本書。教育関係者の方々は注目の書籍かと思います。

■ 内容構成 ■

第1章 科学者の視点から見た教育
はじめに
1 アートから科学へ
2 PISAの始まり
3 現状肯定に終止符を打つ「PISAショック」
4 危機に瀕していること

第2章 幾つかの神話を暴く
はじめに
1 貧しい子どもは成績が悪い。これは運命なのか
2 移民は学校システムのパフォーマンスを低下させるのか
3 より多くのお金を使えば教育は成功するのか
4 クラス規模が小さいほど成績が良くなるのか
5 学習時間が多いほど成績が良くなるのか
6 持って生まれた才能で教育の成功が決まるのか
7 文化的背景は教育に大きな影響を及ぼすのか
8 成績の良い生徒が将来教員になるべきか
9 能力別クラスで成績が良くなるのか

第3章 優れた学校システムは何が違うのか
1 成功した学校システムとは
2 教育を優先する
3 全ての生徒が学び、高い水準に達することができると信じる
4 高い期待を示し、その意味を明確にする
5 質の高い教員を採用し定着させる
6 独立した責任ある専門家としての教員
7 教員の時間を最大限に生かす
8 教員、生徒、保護者を一つにする
9 有能な教育リーダーを育てる
10 学校の自律性を適切にする
11 管理から職業的な説明責任体制へ
12 一貫したメッセージを示す
13 より多くではなく、より賢く支出する
14 成績上位5か国の教育システムのスナップショット

第4章 なぜ教育の公平性はわかりにくいのか
はじめに
1 機会均等をめぐる闘い
2 より公平なシステムを作るための政策
3 学校選択と公平性の両立
4 大都市、大きな教育機会
5 移民の子どもたちへの支援
6 根強く残るジェンダーギャップ
7 教育と過激主義の闘い

第5章 教育改革の実現
1 なぜ教育改革はこんなにも難しいのか
2 改革の成功に必要なこと
3 「正しい」アプローチの多様性
4 進むべき方向を定める
5 合意形成
6 教育改革に教員が参加する意味
7 試行プロジェクトと継続的な評価
8 システム内の能力開発
9 タイミングが全て
10 教員組合と共に改革する

第6章 今何をするか
1 不確実な世界のための教育
2 差別化要因としての教育
3 加速する時代で知識、スキル、人間性を育てる
4 価値観を教育でどうとらえるか
5 成功した学校システムの変貌
6 タイプの異なる学習者
7 21世紀の教員
8 学校内外のイノベーションを促進する
9 効果的なシステム・リーダーシップの育成
10 評価の再設計
11 前進しながら外部を見渡す

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