見出し画像

私史上、最高峰の夫であり父

アメリカのドラマ「ミディアム」をご存じですか?
検事局で働く(確かパートタイムというか正社員ではないはず)アリソン・デュポア。彼女は夫と三人の娘を持つ主婦。幼い頃から霊が見える彼女は、殺人事件の夢を見てしまう。全体像を見ることもあるし、被害者または加害者の目線で見ることもある。今起きている事件、これから起きる事件。事件が解決されるまで、夢は何度も繰り返し、見える範囲も広がっていく。
彼女の夢で見たものをヒントに、彼女の霊能力を理解している検事と刑事が事件を解決していく…という一話完結の物語。

で、ですね。ストーリーも残忍すぎず、御伽噺すぎない、気負わず見れるサスペンスなんですけれど、そこじゃないんですよ。私が好きなのは。
アリソンには「ジョー」というとても優しい夫がいます。宇宙産業エンジニアの夫とアリソンはとても仲良し。毎日一緒のベッドで眠ります。アリソンが夢を見てハッと起き上がるたびに、ジョーは「どうしたの?」とやさしく声をかけます(尋常じゃない回数です)。そして夜中でもいつでも、夢の話を聞きながらアリソンをなだめるのです。「その事件はまだ起きていないかもしれない。今、朝の4時だよ。検事に電話しても迷惑なだけ。朝まで待てない?」と言ったり、混乱しているアリソンを落ち着かせたり。なのでジョーは常に寝不足。それなのに毎回きちんと妻の話を聞き(何度も言いますが尋常じゃない回数です。夜中に何度も起こされて、軽い文句は言っても本気で怒ったりしません)
朝になれば、朝食を作り、三人の娘を学校や保育所に送り出します。
三人の娘はパパが大好き。怖い夢を見たとき、学校であった出来事、さらに思春期の異性の悩み、すべてパパに相談します。思春期の長女とおしゃまで小生意気な次女の喧嘩を仲裁することもしょっちゅう。そして3人の娘たち、全員お母さんから能力を受け継ぐ霊能者。まだ霊能力だと理解できていない幼い娘は、他の子には見えないお友達がいたり、ヴィンテージショップのフィギュアを「パパのだから」と持ってきてしまったり。(万引きで警察に届ける、という店主を説得し、大金を払ってそのフィギュアを買い取ると、足のうらに「ジョー」の名前が。ジョーが成長しておもちゃで遊ばなくなったので、ジョーの母親がバザーに出したおもちゃだったのです)。
お母さんが見ている夢を反対目線の夢で見たりもします。子供だから怖くて絶叫で起き上がることもしばしば。ジョーはそんな娘たちの話も、ひとつひとつきちんと聞いてくれるのです。
手先が器用で、家のことは大抵できてしまう。娘の宿題でソーラーパネルを使ったライトを作るときも、さらにアレンジを加えてソーラーラジオにしてして娘たちと踊りながら楽しみます。猪突猛進で事件になると周囲を顧みなかったり、酷い時は被害者(または加害者)が憑依した妻のことも、すぐに気づいて冷静に受け止めます。そしてほとんど怒らない。起こる時は家族に危険を及ぼすような行為に妻が走ったときのみです。(家に爆弾を作る材料を大量に置いた、預金を全額下ろしたなど。これも霊に憑依されていると理解したジョーが防ぎました)
学校で子供が問題を起こしても、まずは子供の話をきちんと聞き、先生にもきちんと意見を言う。子供の気持ちを優先して、先生の誤解をきちんと解くのです。
ジョーの活躍はここに書ききれません。とにかく家族のことを大事に思って何でも面倒がらずにやっていく。

私はとても心配なのです。これから娘たちが成長し、恋人が出来たとき
「この人、なにもできないな」とお父さんと比べて思ってしまうのではないかと。お父さんをモデルとして見てきた子供たちは、並大抵のパートナーでは満足できなくなってしまうでしょう。霊能力についての理解を得る事だって難しいのに。
物語の内容そっちのけで、ジョーのやさしさに毎回ノックダウンされながら、娘たちの未来を勝手に心配しながら見続けていました。

海外ドラマには優しい夫、優しい父ってたくさん出て来るけど、私はジョーほどの男性は今後も現れないだろうと思っています。

#好きな番組


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?