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【釣り針事件】SDGs志向で未来型釣り業界へ

先日、ワカサギ釣りをした帰りに車のトランクで仕掛けの整理をしていて、指先にズキッっとした痛みを感じました。

ワカサギ用の仕掛けは小さい針がたくさんついているので十分注意してはいたのですが、痛みを感じた瞬間に指先を見ると、案の定、小さなワカサギ針がカエシの奥まで刺さっていました。

(ワカサギ用の針は極小で、釣り糸も細いので肉眼で見えにくく、
軸も細いので刺さりが良く、カエシがついていても軽い力で一瞬で突き抜けてしまうのです。)

私はバーブレスフック派なので、ルアーのバス釣りはもとより、餌釣りでもある程度大きな針を使う釣りであれば、必ずペンチで潰すようにしているのですが、

ワカサギ用の針は小さすぎてペンチではカエシが潰せなかったので仕方なくそのまま釣りをしていたのでした。

指先の痛みでパニックになり、焦った私は針をペンチで掴んで引きぬこうとしましたが、カエシがついているのでなかなか取れず、ついには針がカエシの部分で折れてしまいました。

後になって思えばペンチで無理やり引き抜こうとせずに、針先の釣り糸を切って釣り針が刺さった状態のまま病院にいけば良かったと思いましたが、そんな後悔をしても後の祭り…

ペンチの先にはカエシから先が折れた釣り針が残っています。
カエシから先の釣り針の折れたはどこにいったのでしょうか?

車のトランク内を探してもそんな小さなカケラを見つけられるわけもなく、必然的に一番考えられる可能性は折れた針先は指の中に残っているのではないかということでした。

もし折れた針が体内に残っていたら細菌が入って膿んで来たり、酷く腫れて治りが悪くなるかもしれません。

指先が腐って取れてなくなるというまでの想像は大袈裟かも知れませんが、使用済み針なのでどんなウイルスや細菌が付着しているかも分かりません。

何より、針先が体内に残っているかもしれないということ自体が異物が体内にあるかも知れないという不安感や不快感に繋がります。

私は、ペンチに残った折れた針を丁寧にティッシュでくるんで、スマホで即席で調べた近くの皮膚科病院に駆け込みました。

夕方だったので午後の受付時間ギリギリのタイミングで予約なしでしたが、緊急ということで運よくなんとか診てもらえました。

皮膚科で使われている特殊な拡大ルーペを覗いてから、先生が言うには患部を触ってみて痛みが無いのであれば、基本的には針が体内に残っていることは考えにくいということでした。

もし、砂粒ほどの大きさでも針が患部に残っているのであれば押したら必ず痛みがあるはずなんだそうです。

実際、先生が指先を押しても痛みはなく、ルーペを持って患部を拡大して見せてくれましたが、特に何か残っている感じは見えませんでした。

先生の言葉に一安心でしたが、もし体内に針が残っている場合は腫れたり、膿んでくる可能性が高いということで、逆に身体には自浄作用があるので、膿んでくれば膿と一緒に折れた針先も排出されるということでした。

更に先生が言うには、どうしても心配な場合は皮膚科ではなく、設備の整った大きめの病院に行って整形外科などでレントゲンを撮った上での診断が必要ということでした。

痛みがなく、専門医の言葉に安心した私はとりあえず応急処置で患部を消毒してもらって、3日分の飲み薬を出してもらって様子をみるという選択をしました。

幸い患部が腫れてくることもなく、特に不自由もないので完治したと言える状態になりましたが、一瞬の出来事で一日楽しかった釣りの記憶が吹っ飛ぶくらいの経験もあるのだという事を実感しました。

今回の経験は私の不注意から招いた事故だったのは間違いありません。
釣りを終えた後に仕掛けをプラスチックケースなどに入れておけば針は刺さらなかったと思いますし、刺さった後も無理に引き抜こうとしたせいで針が折れて余計な心配が増えてしまいました。

釣り針は鋭利な刃物であることに変わりはありません。

今後は釣り針の扱いにはより一層の細心の注意を払っていかなければという教訓とともに、釣り具メーカーにも一つの要望を出したいと思いました。

その要望とは、
『バーブレスフック仕様の仕掛けやルアーを標準化して欲しい』
ということです。

100歩譲って標準化まではしなくても良いですが、バーブ付きの仕掛けと並行して、バーブレスフックという選択肢も同時に選べるような業界体制を整えて欲しいと思います。

現在の釣り業界では、海釣り用のサビキでも、ワカサギ用のサビキでも基本的にバーブ付きのものが標準で、バーブレスフックのサビキなんて見たことがありません。

もしかしたら販売しているメーカーもあるのかも知れませんが、一般的にはどこの釣具屋で売られているルアーや仕掛けにもカエシがバッチリついています。

大きな針であればカエシは潰せますが、ワカサギ用のような超小型針ではなかなかそういう訳にもいきませんし、サビキ仕掛けは針がたくさんついているので潰すのも一苦労です。

スレ針やバーブレスフックが標準のヘラブナ釣りやエリアトラウトに比べて、他の釣りではカエシがついているのが普通という事態はどうして起きるのでしょうか?

一つには野池や湖、海などの自然の魚はお金を払って放流した魚ではないので、魚体へのダメージなどの影響は考慮しない、それよりも掛かった魚をバラしたくないというお客さんの要望に応えた方が釣り具が売れるという釣り業界の事情があるのだと思います。

ルアーフィッシングを中心に世界中の魚を釣り上げている王様こと村田基さんは、バスやシーバスなどのジャンプする魚はカエシがついていないとバレル、GTはジャンプしないのでバレない、カエシが無い方が刺さりが良くなるということを言われていました。

1000歩譲ってバスやシーバス、その他の釣りで使うペンチでカエシを潰せるサイズの大きな針ならそれも良いでしょう。(ペンチで潰しても完全なバーブレスにはできないし、毎回手間なので少し不満ではありますが…)

しかし、ワカサギや極小魚を狙う海のサビキ針はスレ針を標準にして欲しいのです。

サビキ釣りはファミリーフィッシングとして子供や女性など釣りに慣れていない初心者の方も良くやられる釣りです。

サビキ釣りで狙うような小魚がジャンプしてバレますか?

サビキ仕掛けでは魚を持ち上げている時や陸に挙げた後に魚が暴れてポロっと取れて海に落ちるということはあるかも知れません。

しかし、そもそも魚が鈴なりに釣れている状態=群れで回ってきている状態ですし、ファミリーで釣りをしている人が魚を1匹たりとも逃したくないという心境になるのでしょうか?

むしろ「あー、魚落ちちゃった!」という状況の方が親子や彼女とのコミュニケーションのネタになると思うのですが。

針を外す手間にしても、ワカサギの場合は口を切って外してしまうのでカエシがついていても気にしないのかも知れませんが、海のサビキ釣りならむしろ鈴なりにたくさん釣れた時にカエシがあったら針が外しにくくて面倒ではありませんか?

釣り経験のある男性ならまだしも、一緒に釣りをしている大切な子供や彼女が釣り針で怪我をした際にカエシが抜けなくて余計に痛い思いをするのはどうなのでしょう?

もっといえば、バスフィッシングやシーバスフィッシングでも魚を取るためにカエシまでつけて釣りたいですか?

広大なエリアで1日に1バイトあるかないかという世界で掛かった魚を逃したくないという釣り人側の気持ちも分かりますが、そもそもゲームフィッシングとは何なのでしょうか?

単純に魚をたくさん捕まえたいなら釣りではなく投網などの漁をすれば余程たくさんの魚が取れます。

魚を寄せる微波動とか、動かないルアーとか、綺麗に泳ぐルアーといった魚を誘って食いつかせる機能の部分には最新の技術やテクノロジーを投入しているのに、トレブルフックに大きなカエシがついた針が2本も3本もついているというのは、

一番根本的なルアーには針がついていて引っかかり、針が引っかかって根掛かりすれば、地球環境はもとより、漁師さんなどそこで生活している人たちの生活にも負荷を与えるという部分がないがしろにされていると思います。

難しい条件を攻略して魚を捕るのがゲームフィッシングなら、カエシがなくてもバレないようにやり取りするのも釣りのテクニック一つだし、超厳密に言えばその方が魚に対してもフェアだと思います。

このことはルアーに限らず、餌釣りの仕掛けも同様です。

それは、魚が釣れればそれでいいやという釣り人のエゴやルアーや仕掛けが売れればそれでいいやという釣り具メーカーや釣具店のエゴを表しているとも言えるのではないでしょうか?

お客さんが大金を払って買ったルアーを根掛かりでロストしないように、定期的に釣り人にキャスティングを教えている釣り具店や、

釣り人による迷惑行為で釣り場がなくならない様に、釣りを始める初心者さんに丁寧に釣りをする際のマナーを教えていたり、定期的な勉強会イベントを開催しているお店というもあまり見たことがありません。

むしろ、釣り人は自己流で好き放題に釣り場に行って、好き放題にキャストして、釣り具を引っかけてどんどん無くしてくれた方が、お店としては売り上げが上がって良いとも言わんばかりの姿勢です。

そんな、やり方でこれからも釣り業界は生き残っていくのでしょうか?

釣りはどこまで行ってもレクリエーションです。

釣り業界が発展することで、製造業やIT業界のように日本のためになる何か革新的な技術を生み出す訳でもなければ、農業や水産業のように日々の生活に必要な食料を提供してくれる訳でもありません。

釣り業界が発展することで生み出せるのは、釣りを通した自然への敬いの意識や人とのコミュニケーションなどの豊かな精神なのではないでしょうか?

それなのに、釣りメーカーや釣り人が、そんな自分勝手な考え方では釣りをしない他業種からしたら、単純に利己的な理由で迷惑をかける業界になってしまいませんか?

そんな自己中心的な業界がこれから先も発展していくことが許されるのでしょうか?

魚釣りにおけるSDGs(持続可能な釣り場環境を守る)という観点からしても、リリースするしないにかかわらず魚に極力ダメージを与えないバーブレスフックという選択肢を持つことは重要だと思います。

釣り具が売れさえすれば利益があがるんだから、環境や魚に対するダメージや、釣り具を使う釣り人に対する安全性などはどうでもいいや、とも思える現在の釣り具各メーカーの姿勢はもとより、

日本で釣りをするアングラー一人一人が、釣り具メーカーに影響を与える消費者なのですから、釣り道具の安全性や魚や自然に対しての影響から釣り具はどうあるべきかということも考えていくべきだと思います。

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