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TVドラマ雑記『マンダロリアン』

ストリーミングが主流となりつつある昨今、TVドラマと映画との境は非常に曖昧になってきている。もちろん映像技術の進歩と恩恵の下で、より安価により派手に見せ場を構築できるようになったのが大きいのだが、その中で一際輝いているのが、『スター・ウォーズ』初の実写ドラマシリーズ『マンダロリアン』だ。製作費2億ドル超の大作シリーズをどうTVに落とし込むのか…作り手がとったのはマカロニウエスタン・侍映画への源流回帰だった。子供を連れて旅する孤独なならず者は、かつてジョージ・ルーカスが自作の血流に流し込んだ活劇から引っ越してきたかのようだ。徹底したカッコ良い主人公の立て方、サーガの片隅に転がっていた要素を活用した生活感の拡大、全編に通底するいい意味での既視感が、その活劇を知らない世代にその良さと面白さを再発見させてくれる。
 新シーズンに突入し、よりファン向けのコアな展開が新規層を遠ざけそうな予感もするが、恐ろしい程高い品質の見せ場に血沸き肉躍るのは間違いない。各話約30分という手軽さもあって、非常に見やすい。この長さとスピードに馴れてしまうと、今までの感覚(1シーズン24話・各50分くらい)に戻れないという不安もあるが…。
          (『マンダロリアン』はDisney+にて配信中)

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