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インターハイ2024鹿児島県予選リポート①女子優勝「れいめい高校」

第77回鹿児島県高等学校バスケットボール競技大会(全国・九州大会予選)女子決勝リーグ最終戦、れいめい高校vs鹿児島高校を振り返ります。

2勝どうしで迎えた最終戦

過去2年、県大会の決勝で顔を合わせ、優勝を分け合ってきた鹿児島高校とれいめい高校。昨年はインターハイをれいめい、ウィンターカップを鹿児島が獲った。2024年1月の新人戦、今年度4月の南九州四県対抗予選とれいめいが優勝し、頭ひとつリードして迎えたインターハイ予選。一方の鹿児島はウインターカップ本戦一回戦突破の経験を糧に、新たなメンバーでチームを構成。四県対抗予選の3位から、じわじわとチーム力を上げてきた。

開始直後かられいめいのオフェンスが光り、1Qを24‐13で終え優位に立つ。れいめいの初得点はセットオフェンスから。3ポイントを沈めたのはガードの田中美妃だった。「セットでは他の選手が打つんですが、相手ディフェンスも対応してきたので。自分が動いてパスをもらい、決めることができました」と田中。

下級生の時からプレータイムを得てきたが、昨季はスタートから外れた。自分にできることは何だろう?と自主練習でのシューティングを増やし、昼休みの短い時間も惜しんで3ポイントシュートを磨いた。れいめい高・松永真至人HCも「試合の中で田中がスリーを打つ機会はそんなに多くない。でもその1、2本が大きいぞ」と励ましてきたという。鹿児島PGの牧之瀬とのマッチアップも見ごたえがあった。「インサイド陣がゴール下でやり合う一方で、あの二人もバチバチにやってますね(笑)。牧之瀬選手も田中も、小柄な選手たちにとって、あれだけやれるという目標になっていると思います」と松永HC。

れいめいはキャプテン山下を中心に積極果敢にリングアタックを繰り返し、得点を重ねていく。鹿児島もキャプテン松原を軸に、高さを出した布陣でリバウンドに対抗、巧みな合わせなどで追い上げるが、れいめいの勢いは止まらず。44-26とれいめいがリードを奪い、前半を終える。

後半、立ち上がりから走り合いとなるなか、れいめいは東郷、栗下らがスコアを稼ぎ引き離しにかかる。タイムアウト後、鹿児島はディフェンスのギアをあげて連続得点。4Qに入り、鹿児島が6-0のランで一桁点差に迫るが、れいめいはベンチに下がっていた松下が連続得点。最終盤、粘る鹿児島はタイムアウトを取って局面を打開しようとしたが、14秒フロントコート再開をれいめいが守り切る。それでも鹿児島は松原、牧之瀬が立て続けにスリーポイント4本を決めるなど、脅威的な集中力と勝利への執念を見せた。「うちも決して手を緩めたわけではなく、素直にすごかった」と松永HCも認める。鹿児島の持つ高い遂行力をしっかりと表現した。

試合は80-69でゲームセット。れいめいの2連覇となった。れいめい中学校からのメンバーは全国大会の経験を持ち、さらに県内中学校からの選手たちが加わり融合した現在の3年生は1年時からスタート、主力としてゲームに出てきた選手が多い。そして勝負を分けるリバウンドも、れいめい田畑友紗がケガから復活し、大きな役割を果たした。昨季のインターハイ予選でも活躍し、本戦出場の立役者となった田畑だが、インターハイ会場の北海道では、松葉杖をついてチームメイトを応援するよりなかった。4月の四県対抗ではセカンドユニットで出場するも本調子には遠く、インターハイ予選の3日目までも、まだ100%は難しいか…と感じる動きだった。ところが最終日のプレーには目をみはった。鹿児島女子戦にベンチから出場すると、力強いポストプレーで攻守に躍動。スリーポイントを決めると、本人も納得のガッツポーズが出た。「絶対にここで結果を出したい。あそこまで動けたのは気持ちだっと思います」と、田畑は決勝リーグ2試合を振り返った。

小さな選手も大きな選手も、ベンチの選手も。それぞれが自分の仕事は何かと問い、切磋琢磨してきたれいめい。大型連休中の合宿で精神的なつながりを育み、チームをビルドアップしてきた。鹿児島高という良きライバルを得て、れいめいも全国大会での勝利を狙う。その前哨戦となる九州大会、初戦で延岡学園(宮崎)に挑む。「相手は大人のチーム、うちがどこまで戦えるか」と案を練る松永HC。チームの集大成となる今年、全国一勝に向けての挑戦が始まる。

選手・監督のコメント②に続きます。


2024年6月
取材・文/泊 亜希子


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