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キングコング 西野亮廣さんは結局何が凄いのか

 西野亮廣さんは高校を卒業後、1999年にNSC(吉本総合芸能学院)に入学、梶原雄太さんとキングコングを結成して、2000年と2001年に4つのお笑い賞を受賞、2001年には『はねるのトびら』が放送開始、その後も数々の冠番組に出演し、30代でも若手と言われるお笑いの世界では異例の早さでスターへの階段を登って行きました。

 2006年頃からは『はねるのトびら』が番組視聴率20%を超えることが増え、数字の面でも実績を残していたのですが、この時、既に西野さんは当時の活動の仕方に限界を感じていたそうです。吉本興業とTV局がキングコングをスターにするため、神輿に担がれ、下駄を履かせてもらい、追い風が吹いているのにも関わらず、キングコングがタモリさん、明石家さんまさん、ビートたけしさんのような突き抜けたスターにはなれておらず、追い抜く気配すらなく、これが本当にショックだったことを様々なインタビューで話されています。

 さらに当時の西野さんを悩ませていたのが、キングコングのライブの動員力です。『はねるのトびら』で視聴率20%以上、何千万人が観ているにも関わらず、キングコングのライブでは300人のキャパを満員にするのにも苦労をすることがあったそうです。

①今の活動では突き抜けたスターにはなれない

②応援してくれるファンが減っている

 この2つの状況を変えるために西野さんは活動の仕方を大きく変えるのですが、ここから、夢を語れば笑われて、行動すれば日本中から叩かれる日々が始まります

◯2003年〜2012年 1人での制作・発信に力を入れる

 西野さんの活動が大きく変化したのが2009年1月26日に『Dr.インクの星空キネマ』の絵本を発売したことなのですが、西野さんは2003年からこの作品を描き始めています。当時『笑っていいとも』で共演していたタモリさんから絵を描くことを勧められたのがきっかけだったのですが、何と完成に5年もの年月を費やしたのです。今でこそ、多くの人と力を合わせて活動をしている西野さんですが、当時はたった1人、画用紙に0.03ミリのペンでひたすら絵を描き続けていました。1人で活動をしながらも、最初の絵本のタイトルにキネマという言葉を使っていることが、将来は映画を作るという伏線になっていると思います。

 もう1つ、西野さんは2005年にある活動を開始しています。それはブログの更新です。当時、ブログを熱心に取り組んでいる有名人はそこまで多くなかったのですが、西野さんは30歳の誕生日である2010年7月3日まで毎日更新を続けました。しかも、かなりのボリュームがある文章量(平均すると1日約3000字ほどにはなると思います)を4年半の間、発信し続けていました。私が「西野さんって凄いな」と思ったきっかけがこのブログです。世の中が西野さんにどれだけ批判的な意見をぶつけても、「批判をしている誰よりも努力してるのにな」という思いで西野さんを観ていました。現在、西野さんはオンラインサロンで毎日、2000〜3000字の記事を上げられていますが、この時のブログ更新が現在の活動の礎になっているのだと思います。

◯2013年〜2023年 応援してくれる人を増やすための取り組み

 2012年頃までは1人で何かを制作したり、発信をする活動が多かった西野さんですが、2013年から活動の形態が大きく変わります。

 2013年、西野さんはクラウドファンディングで出資を募り、15日間で585人の支援者から5311000円を集め、ニューヨークで絵本の原画展を開催しました。クラウドファンディングとは、ある目的を達成するために、不特定多数の人から支援を募り、お金を集めることです。この説明だけですと寄付と何も変わりませんが、寄付との違いはクラウドファンディングにはリターン(お返し)があることです。リターンにはグッズ、発案者と一緒に写真が撮れる、何かの体験ができるなど様々なものがあります。

 しかし、当時はクラウドファンディングが日本では全く定着しておらず、オンライン上でお金を集めることに対する世の中のアレルギーが大きく、かなりの批判が浴びせられました。よくよく考えれば、誰かが取り組みたいプロジェクトを掲げ、その人を応援したいと思う人がお金を出資、無事にプロジェクトが実行されて、リターンでお返しをする、ここが全てクリアできていれば、何も問題ありませんし、損をしている人も誰もいません。多くの批判を浴びながらも、西野さんは2013年からの3年間でその後の軸になる取り組みを次々に実施していきます。

 西野さんは2005年から定期的に独演会を開催しているのですが、2014年に日比谷公会堂で開催した独演会で、2000人分のチケットを全て手売りするという販売方法を実践、直接会ってチケットを販売することでファンを増やすことに挑戦しました。これはTVで高視聴率を取っているにも関わらず、ライブの動員に苦労をした過去の教訓を活かして、多くの人に認知されるよりも、ファンを確実に増やすために取り組まれたそうです。

 2015年にはオンラインサロンを開始。これも最初は大きな批判がありました。不思議なのがファンクラブへの批判はあまり聞かないにも関わらず、オンラインサロンに対する批判は多いことです。ファンクラブとの違いを1つ上げるならば、ファンクラブはほぼ100%、会員が受け手になりますが、オンラインサロンでは会員も何かを作る側、発信する側を担うケースがあることだと思います。しかし、このオンラインサロンのメンバーとの取り組みが映画制作など多くのプロジェクトに繋がっていきます。

◯結局、西野さんは何が凄いのか

 ここまで西野さんが取り組んできた活動の一部を紹介しましたが、結局、西野さんの何が凄いのか、私なりに3つにまとめました。

①夢に向かって、最善の方法を見つけて行動できること

 基本的に人は面倒なことが嫌いなため、新しいことに挑戦することを億劫に感じます。面倒なことが嫌いなのは、人として本能的な部分になってくると思うので、仕方ない部分も当然あります。しかし、西野さんは自分の夢を叶えるために様々なことを勉強して、新しいことにも挑戦して、夢を叶えるために最善な方法を探し出しているのだと思います。人は最善な方法を見つけることができても、「それはかっこ悪い」「批判されそうだから、やめておこう」「これは王道すぎて、逆に避けたい」などの思いが巡り、行動できないこともあります。そのような思いに負けず、良いと思うことを見つけて、実践できる実行力が西野さんの凄さだと思います。

②継続できること

 西野さんはオンラインサロン内での記事の発信だけではなく、他に日課として、音声メディアVoicyでの発信、キンコン西野のサイン本屋さんで注文が入った本にサインを書いて梱包と発送(毎日約10〜20冊)、10キロのランニングに取り組んでいます。ランニングは20歳の時から続けているそうで、2002年にTBSで放送された『オールスター感謝祭』の赤坂五丁目ミニマラソンに初出場した際は、企画が成立しなくなるレベルの圧勝で優勝を果たしています。

 1日だけ、1ヶ月だけ、1年だけ頑張ることは多くの人ができるでしょう。しかし、5年、10年、20年として継続することは誰でもできるわけではありません。途中で挫折をしたり、何となくフェードアウトする人がほとんどですが、西野さんは継続している取り組みが非常に多く、他の人であれば、途方もないレベルの努力を日課にしています。

③損切りができること

 西野さんは新しいことに積極的に挑戦する一方で、「これは違う」と感じたことは思い切って損切りをしています。例えば、10年前に日本中から批判された、ひな壇の番組には出演しない決断がこれに当たります。西野さんはひな壇の番組で前に出ていくことが自分には合っていないと感じ、自分に合っていることに力を注ぐほうが賢明だという思いから、ひな壇の番組に出ない決断を下しました。ひな壇以外でも、大喜利やグルメ番組など、合っていないと感じたことは中途半端に取り組まず、一切やらないという選択を取っています(※『ゴッドタン』に関してはこの限りではありません)。

 西野さんは『毎週キングコング』で実施した梶原さんとの転職に関するキャリオクの対談で「結論、向いてないことはやめたほうがいい」とはっきり話されています。おそらく、多くの人が頭では分かっていても、保険を掛けたくなったり、そこまで困っていない現状に満足して、これができないのだと思います。

 以前に比べると減ってはいるものの、現在でも西野さんを批判する声はあります。しかし、その根底にあるのは、「本当は自分もしたいが、いろいろと理由をつけて、できていないことを西野さんが実践している」という悔しさだと思います。

 『はねるのトびら』が終了した時、多くの人が「キングコングは終わった」、「キングコングは結局スターになれなかった」と思ったはずです。しかし、西野さんと梶原さんは全く違うルートを見つけ出して、スターへの階段を登り、誰も想定していなかった場所を開拓しました。カジサックチャンネル登録者90万人記念の西野さんとの対談で梶原さんが

キングコングはねエライことになってくると思いますから

光り輝いている2人が揃うと

いずれ・・・

何かしらになると思うんで


こう話していましたが、この「何かしら」というのは、「現代に適応したお笑いコンビのスターのかたち」なのだと思います。


◯出典
・『映画 えんとつ町のプペル』公式サイト 2023年11月20日
https://poupelle.com/

・キングコング 梶原雄太 プロフィール-吉本興業 2023年11月20日
https://profile.yoshimoto.co.jp/talent/detail?id=9923

・『【宮迫x中田】西野亮廣(前編)〜12年 夢を信じぬいた男の死闘〜【WinwinWiiin】』配信 2020年12月19日(中田敦彦のYouTube 大学 - NAKATA UNIVERSITY)
https://youtu.be/pdaSg5kkp8c?si=TsU6cgP2pL3UEkNz

・『【宮迫x中田】西野亮廣(後編)〜宮迫さんを吉本に戻してください〜【WinwinWiiin】』配信 2020年12月19日(宮迫ですッ!【宮迫博之】)
https://youtu.be/udaAFc5ahuo?si=A8JEPhV9rSTAA20r

・『キングコングがガチンコ対談「ボクらの転職」【キャリオク】』配信 2020年4月19日(毎週キングコング)
https://youtu.be/PkygrwLV0NM?si=d5sqkHzugotpwjsX

・『「チックタック約束の時計台」発売直前企画西野亮廣ドキュメタリー』配信 2019年3月24日(毎週キングコング)
https://youtu.be/3PBzIwAGdlU?si=-jSSZPWB0wEUupR1

・CAMPFIRE キングコング西野亮廣、NYで原画展開催〜あたしをNYに連れてって!〜 2023年11月20日
https://camp-fire.jp/projects/view/563

・『「お金は午前中に稼ぎ終わってます」西野亮廣さんが実践している習慣、全部聞きました【前編】』配信 2023年4月24日(新R25チャンネル)
https://youtu.be/eRPc2T_iPtU?si=1-uNl8v6vo91TlX8

・『【登録者90万人記念】キングコング西野さんが部屋に来てくれました』配信 2019年6月28日(カジサック KAJISAC)
https://youtu.be/svsAhn7PdHU?si=EbNOgXTWmYUWLDL7

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