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わふくストーリー執筆 水無月彩椰さん

本日はわふくストーリーの準備を一緒に進めている水無月彩椰さんを紹介します。

私(ジョン)は小説をメディアとして選定し、ストーリーコンテンツの制作を進めています。本職はゲームのクリエイターです。SLGやRPGのシナリオ制作にはゲーム業界に入ってから早い段階で携わっており、世界観・キャラデザ・あらすじを考え、その時々でライターさんと一緒に制作を進めてきました。小説であってもストーリーを構想する上流工程は大きく変わらないのでやれる自信はあったものの、文章表現の専門ではないため、作家さんにジョインいただきたいと考えていたのです。

今回、題材としてとらえている、わふくジェネの強みは、四季をエモく描こうとしているところです。そして、四季を描くということは、その時々の美意識やそれを受け取る人間の内面を描くことができます。それは、Web3の市場に小説という伝統的で洗練された文化を接続することで多くの化学反応が起こせると思えたのです。

小説家になろうではたくさんのライターさんが日々連載を行っています。そこで、何作もの作品を読んでいる中、がっちりはまりそうだと確信したのが、水無月さんでした。

水無月さんは大学生でありながら、明治の文豪のような文体が持ち味の純文学~ライト文芸の作家さんです。お許しをいただいたので、最新作である『鏡鑑の夏と、曼珠沙華』の第一話を長めに抜粋しました。

──これから夏が死んでゆくのだと思うと、不意に僕の心臓は、堪らないほどの寂寥せきりょうの感に締め付けられた。瞳に晩夏の黎明れいめいを焼き付けながら、そのまま手持ちの日記帳を開く。まだ何も書き込まれていないそこに、僕はシャープペンの芯を軽く乗せた。

『都会の喧噪には、ほとほと飽き果てた。そうしてコンクリートに毒された自然の表皮、継ぎ接ぎのフィルムのごとく訪れては去りゆく四季の一片──露往き霜来ると言えども、これほど雑然とした無秩序に身を置いていては、心に余裕など持てない。

──だから、存在しないあの夏に、焦がれているのだ。縁無しの紺青の空、ただ立ち昇るだけの入道雲、アスファルトに揺らぐ夏陽炎、降り注ぐような蝉時雨──その悠然さに、僕は、きっと。

そのために僕は、手を伸ばして、背伸びをしたのだ。自分の夢想する夏というものの断片に、ほんの少しだけでも触れたいから。虚像の夏を、ほんの少しだけでも鮮明に映し出したいから。これは誰のためでもなくて、僕自身のためでしかない。それならばいっそ、喧噪な都会から悠々しい田舎に逃げてみたかった。』

鏡鑑の夏と、曼珠沙華
晩夏の黎明

この時点でレベル違います。谷崎潤一郎や太宰治じゃないのか?昔読んだ心に残る名作を重ね合わせることができました。
・季節感ある情景を伝える語彙力
・漢字の雰囲気で空気を伝える表現技法
・登場人物のキャラクターを伝える会話表現の軽快さ
・ストーリーが盛り上がってからのテンポ
・純文学のみならず、ラノベ・アクション文芸も書ける多彩さ

制作を進めてみての水無月さんは物書きとしてプロ意識が高く、Web3への理解と出版業界洞察の鋭い方でした。ご自身の文体で世界を魅力的に描き出すことに真摯に向き合っていただいています。

この体制・表現レベルであれば、文芸をWeb3で盛り上がっているプロジェクトに接続することで、Web3の盛り上げだけではなく、文芸の制作・出版工程・ビジネスモデルすら変える可能性があると信じています。

原案『SF天城のお話』の検討が始まったのです。とはいえ、読者の方に読んでいただけることが最重要で、世界観・キャラクター設定・ストーリープロットを意見交換しながら大幅な改変が進んでいます。「天城」はすでに名前が変わり、ストーリーもかなり具体化していまして、跡形もなくなった部分も多いです。ワード資料に日々、水無月さんと私は大量にコメントを交換、それをもとにプロットに吸収されることを繰り返しながら、私たちは少しづつではありますが設定への自信を深めつつあります。

安心して執筆開始できる水準までプロットを詰めることができたら、改めて制作発表という形にさせていただき、今、準備室は動き出しておりますことを水無月さんのご紹介とさせていただきます。

鏡鑑の夏と、曼珠沙華 もぜひ読んでみてください!


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