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「嘘だろ…!?」が過ぎる大病院占拠/新空港占拠というドラマについて

皆さんは大病院占拠というドラマを知っているだろうか?
言わずと知れた人気アイドルである櫻井翔が、理不尽なほどボロボロになりながら「嘘だろ…!?」を連発するドラマである。

冗談はさておき、良くも悪くも話題を呼んでいた大病院占拠の続編である「新空港占拠」が完結した。

見終わっての感想は、やはり前回通りの「嘘だろ…!?」な展開であり、そしてなんやかんや言いつつもエンタメ作品として十分楽しめなーというところだった。
ということで、この二部作ドラマについて話していこうと思う。

エンタメノンストップサスペンスな今作

大病院占拠は、その名の通り神奈川県の大病院が占拠される話である。突如として占拠した犯罪者グループは全員「鬼」の仮面を被り、武力戦や頭脳戦を駆使して県警を欺きながら「ある目的」のために動画配信を行なっていく。それに対抗するのが、元捜査一課の刑事で事件でのトラウマをきっかけに休職中の櫻井翔扮する武蔵三郎である。
新空港占拠でもその大枠は変わらずに、刑事として復帰し、前年の病院事件の精鋭メンバーがそれ以上に危険な犯人グループ「獣」と対峙する形となっている。

さらに本作は、事件中の24時間を描く話であり、その描き方はさながら24を意識した作りといえよう。(ストーリー間の差し込み映像なども、その雰囲気が伺える)
ハラハラドキドキとした展開をほぼノンストップで体感できるところは、土曜日の夜という多くのお茶の間の人々が安らぐ時間に提供するエンターテイメントとしてぴったりだろう。

連続の怒涛の展開や、無駄に銃を乱射する武装集団、ネット捜査で真相に迫っていくストーリー構成、そして度々ネットをバズらせるシーンなど、今のSNS時代にも合った作品であると思う。

かの有名な「それ落ちてるだろ」など、嘘だろ!?と言わざるを得ない部分も目立つ

前述した通り、私は今作について楽しめた側ではあるのだが、とはいうもののな粗も目立つ。
1番の代表例は、大病院占拠での「それ落ちてるだろ」な比嘉愛未救出劇である。武蔵の妻である裕子がストレッチャーに繋がれたまま窓の外に投げ出されるシーン。CG合成と演技のタイミングが合わさって、明らかに間に合わないタイミングで手を掴んでいる。またストレッチャー含めた重さを考えたら、片手で引き上げられるはずがない。
このシーンについては、ネット上でも大バズりしており、さらっと見過ごしてしまうことも多いだろうドラマというコンテンツの中でも、「考察作品」である今作がしっかり見られていることも伺える事件であった。

また、私的に一番気になっているのは、武蔵三郎殺しかけすぎ/不死身過ぎという点である。
大病院占拠では青鬼の宿敵である人物という点、新空港占拠では事件捜査になくてはならない人物であり、前作と同じように龍にとっても縁深い人物であった。
そんな武蔵に対して、大病院占拠では病院から思いっきり突き落とし、新空港占拠では爆弾付きで解放した。いくらなんでもやりすぎである。
作品としてはそれだけ主人公たちにも残忍な犯行に及べる危険集団としての必要な描写とも取れるが、もっと良い塩梅があるように思える。

だが、共通して「議論を呼び、失笑ではなく盛り上がれる」という点では、エンタメ作品の演出として、アリなのではないかと思う。
実際、私は大いにテレビの前で盛り上がったわけなのだから。

鬼滅の刃から世間で増えている「敵への感情移入」演出

この作品の現代らしい作り方だと思うのが、敵サイドの描き方だ。
鬼滅の刃から世間の作品で増えつつある、敵のバックボーンを通して感情移入を誘う演出が、この作品でも多分に漏れずなされている。
鬼や獣が面を脱ぐ瞬間は、人質として吊し上げられている「標的」との因縁が武蔵たちによって明らかにされるときだ。面を脱いだ彼らによって、その復讐心や思いの丈が苦痛の表情で吐露されるのも、この作品の見せ場であろう。

番組開始前からも、鬼や獣のメンバーはキャスト名が伏せられた上で、予想合戦がネット上で繰り広げられているわけだが、この一種の祭りによって彼らへの視聴者の興味はかなり強くなっている。
その上でこのようなバックボーンを見せる演出があるわけだから、面で素顔が出ない彼ら敵サイドのキャラ立ちとして十分な効果を発揮してると思う。

エンターテイメントの要素、考察の要素、そして現代の時流として、この敵を深掘る演出は私はとても好きだった。

既視感と複雑性の増した「新空港占拠」

大病院占拠の人気から一年と絶たず続編の告知がされた新空港占拠であったが、作りとして模倣犯ではなく真の犯人という立ち位置での獣の描き方は面白かった。
獣の主犯である龍は、ストーリーの終盤で犯罪コンサルタントという裏の事業を営んでいることが明かされた。そのコンサルティングの一つとして、前作の大病院占拠は発生していたのだ。
大病院占拠の最終回にて駿河が青鬼らしき人物からメールを受け取っている場面から続編が囁かれていたわけだが、協力者としての立場がまさかのクライアントであったことは、絶妙に予想の外をつかれた思いだった。

大病院占拠、新空港占拠と大規模なテロかつ
世の中の闇を暴くその行為が、実は全て龍によって手引きされていたものであったのだ。
そんな構造だからこそ、自然と新空港占拠での犯行や展開はかなり近いものがあった。
これが前述した真相の伏線であることは確かであるものの、なかなか展開の同様さには飽きる部分も目立った。2回目ということもあり慣れも出てきているので、仕方ないところもあり、少し残念な部分でもあった。
ただ、新空港占拠では「獣が鬼よりやべえ奴ら」という作中の志摩の発言を体現するように、焼き回しというよりはマシマシ演出という形で展開されていた。
初回から人が死ぬ展開を始め、捜査本部の岩槻による裏切り&爆弾インカムの展開、獣とケダモノという犯人グループの対立構造など、グレードアップした演出は上げればキリがない。
その多くは「前回よりもデンジャラスになってる」という結論に尽きる。前回ハマった作品がより過激になって帰ってきたという意味では、同じ作品としての読み味ならぬ鑑賞味があった。

櫻井翔の「嘘だろ!?」とぐんぴぃの活躍を観る楽しみがあるドラマだった

ということで、長々と良いこと、悪いことを話していった今作の感想であるが、じっくり考えさせる作品というよりもエンタメ要素の強い今作だからこそ、多少のツッコミどころよりも迫力や怒涛の展開が面白く感じさせるドラマだったと思う。その面では、かなり楽しませてもらった。

そして、櫻井翔ドラマウォッチャーの私としては、彼の「嘘だろ!?」は毎回楽しませてもらった。このセリフを聞くだけでだいぶ満足度は高かった。
さらに言えば、ドラマ初挑戦である春とヒコーキのぐんぴぃの演技や活躍も、とても楽しみであったし、続編である新空港占拠では大きな注目ポイントとなっていた。
ちなみに、彼が配信しているYouTube、バキ童チャンネルも、すごく面白い。

さらなる次回作も匂わせて終わった今作の続編を、また楽しみに待っていようと思う!

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