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【超具体的解説】「あなたにしか書けないコンテンツ」でクライアントから選ばれるライターになる方法

「応募しても応募してもなかなか案件をとれない」
「SEO記事は書けるけど、それでは単価が上がらない」

最近、そんな声を聞く機会が増えました。ここ数年、ライターが急増して案件数とのバランスが崩れたことから、ライター界隈は急激にレッドオーシャン化しています。

レッドオーシャンから抜けだすには他のライターとの差別化が必須。やり方はいろいろありますが、もっとも確実なのは「あなたにしか書けないコンテンツ」を書くこと。今回はそのやり方を詳しく解説してみます。

◆オリジナリティでサメより速く泳ぐ

I don’t have to swim faster than the shark just my dive buddy.

ダイビングの世界にはこんなジョークがあるのだとか。翻訳すると「(生き残るためには)サメより速く泳ぐ必要はない。一緒に海に入る仲間より速く泳げればいい」という意味。

ライティングの世界でもこれは同じ。完璧なテキストを書く必要はありません。「今のところ」という但し書きはつきますが、他のライターよりワンランク価値の高いテキストを書ければ、生き残りは可能です。

問題は「価値の高いテキスト」とはなんなのか、ということ。たとえば、WEBライティングではSEOがスキルの一つとして評価されてきました。検索エンジンが上位表示するよう、書く技術です。

多くの専門家が語っている通り、この技術は廃れつつあります。小手先の対応ができているサイトよりも読み手にとって価値の高いサイトを上位表示するよう、Googleのアルゴリズムがアップデートを続けているためです。

Googleの代わりにChatGPTなどのAIを利用するケースが増えており、SEOの終焉は間近だと思われます。

では、価値の高いサイトとはなんでしょう? Googleのエンジニアは「オリジナルで有用なコンテンツを持つ高品質なサイト」を上位表示させる、と語っています。利用者にとって価値が高いのはオリジナル――新規性・独自性の高い情報だとGoogleも認めているのです。

当たり前のことですが、誰でも書けるような案件を依頼する場合、クライアントはなるべくお安く使えるライターを選びます。「あなたにしか書けないコンテンツ」を作れなければ、永遠に価格競争から抜け出せません。

逆にいえば、それさえできれば、自身を他のライターと差別化できるため、サメに食われず生き残れるのです(今のところは)。

◆新規性。独自性を生み出すのは「考えるライティング」

では、具体的にはどうやって、新規性・独自性を実現すればよいのでしょう?

やり方は主に2つあります。

①取材等により、ネット上にはない一次情報を取得する
②思考・思索により新たな情報を生み出す

このうち①は比較的単純なやり方ですが、情報をくれる取材対象が必要です。情報源を確保できるかどうかは環境や人脈によるため、ここでは割愛します。

ライターの属性によらないのが、②の思考や思索による情報作り――「考えるライティング」です。

WEBライティングでは、他のサイトに載っている情報の切り貼りが横行しています。いわゆる「こたつ記事」と呼ばれるもので、簡単に大量のテキストを作るのに適しています。

ただ、コンビニでお弁当をいくつか買ってきて、別の弁当箱に詰め直したものを「自作弁当」として提供するようなもの。一定品質の弁当を大量生産できますが、もとの弁当より美味しいものは作れません。

ライティングも同じです。切り貼りコンテンツがオリジナルよりもよくなることはほとんどありません。

思考や思索による情報作りはそれとはまったく異なります。ライターの経験や独自の解釈、思考により、別の価値を創造するライティング。お弁当にたとえるなら、素材から調理したオリジナルのおかずを詰めるのが「考えるライティング」です。

◆考えるライティングの基本は「リサーチ」「リセット」「リブート」

「考えるライティング」の基本となるのは次の3つの作業です。

①リサーチ:情報収集です。質にこだわって「よい情報を集めよう」と考えるのは、一見効率的に思えますが、実は非効率です。どの情報が有用か、リサーチの段階では特定できないからです。
砂金集めと同じで、大量に集めた土砂の中からほんのわずかな「金」を見つけるのがリサーチだと認識してください。ただし、時々ダイヤモンドやサファイヤなんかも混じるケースがあるので、「金色の粒」以外も全部拾いましょう。

②リセット:あらゆる情報や常識、解釈の仕方をいったんリセットしてください。
見聞きした情報は正確か? フェイクではないのか? 
常識とされていることに例外はないのか? 100年前も常識だったか? 100年後も常識とされているだろうか?
誰かの言動にはどんな理由や意味があるのか? 自分は彼あるいは彼女の意図を正しく理解しているか? 
そんな風に疑うことで情報や常識、解釈をリセットできます。さらに、リセットしたものを、自身で定義し直せば、独自の価値観を創造できます。

③リブート:ちょっと聞き慣れないかもしれませんが、創作の世界で「世界観から作り直すこと」を意味する言葉です。料理にたとえるなら、「イタリアンでよく使うトマトとバジルで中華料理を作る」といったトライがこれにあたります。
「不動産の案件で得た知識を物流に当てはめてみる」「外食店の成功譚を『三国志』になぞらえて書いてみる」など、知識や経験値が増えるほど、独自の組み合わせにより、リブートの可能性は広がります。

概念をこんな風に並べてもわかりにくいので、例となるケースをあげてみましょう。

《Example:外食店を始めたい人向けのビジネス記事を請け負った場合》


①リサーチ
外食産業における近年の状況、外食店を始めるにあたって考慮しなければいけない問題、問題の原因、問題の解決方法、解決できなかった場合のリスクヘッジ方法等々、関係する情報を片っ端から集める。

②リセット
そもそも、外食店とはなにか(屋台やフードトラック、持ち帰り専門も含めるか等)?
人はなぜ、外食店に行くのか? すべての国に外食店があるのはどうしてなのか?
なぜ外食店をやるべきなのか? 今やるべきか? 日本でやるべきか? 毎日開店する必要があるか? その他、「常識」と考えそうなことを洗い出して疑ってみる。
ついでに一般的なビジネス書の書き方でいいのか、といった書き方も疑ってみるのがお勧め。

③リブート
外食のノウハウを扱う一般的なビジネス書はたくさんあるので、リブートにより差別化したい。たとえば、ぼくなら外食チェーンの書籍を何冊か書いた経験があるので、もともと一次情報をある程度持っている。
さらに、関係する業種で言えば、不動産、物流、マーケティングなどについても書籍を作ってきた。個人的な趣味のレベルで言えば、料理も好きで、和洋中たいていのメニューは作れる。
ライティングでは小説で文学賞を取っており、ストーリー形式のテキストも書ける。
こういった特性を組み合わせて、オリジナリティの高いコンテンツ案を考えてみよう。

A案:不動産×物流×外食=「外食店初心者必読! 失敗しない初めての立地選び」
B案:料理の知識×外食=「格安食材で作るチェーン店の人気メニューあれこれ」
C案:ストーリー×外食=「もし女子高生が『美味礼賛』を読んだら」
D案:……
 
 どうでしょう? こんな風に考えて作業を進めたら、独自性の高いコンテンツをいくらでも制作できます。ライターとして得た知識や雑学、職歴による経験などと掛け合わせることで、コンテンツの企画案は無限に広がるのです。

◆必要なのは考察する癖と圧倒的なインプット量

やり方は上記の通りですが、残念ながらこの記事を読んで理解したからと言って誰もがこういったライティングをできるわけではありません。バッティング技術を教わっても、プロのピッチャーが投げる球を打てないのと同じ。理解したことを実現するためには、さまざまな能力が必要です。

中でももっとも大切なのは高い「考察力」と一定量以上の「知識・経験」だ、とぼくは考えています。

「考察力」は与えられた情報からものごとを推理したり、情報の組み合わせから新しい価値を生み出したりする能力です。この能力を磨くためには、日常から「考察する癖」を身につける必要があります。

《日常的な「考察」のやり方》

見聞きした事柄について常に、「なぜ?」あるいは「どうすればいい?」などと考えるようにします。当たり前に思えることも、「なぜ?」を5回くり返して深掘りするのは難易度の高いトライです。

たとえば、太陽が東から昇って西に沈むのはなぜでしょう? この答えは簡単。地球が北極と南極を結ぶ軸を中心に(少しズレはありますが)自転しているためです。北極を上から見て左回り――つまり西から東に自転しているため、太陽はその逆方向に動いて見えるのです。

では、地球はなぜ自転しているのでしょう? 即答できる人はたぶん、あまり多くないと思います。ここでは書かないので、気になる人はググってみてください。ネット上には答えを教えてくれるサイトがいくつもあります。

でも、できれば可能な限り、自分の頭で考えてみてください。「球体はなぜ回る?」「地球にはどんな力がはたらいている?」そんな風に考えを巡らせると、答えに近づけます。考えること自体が考察力を高めるトレーニングになります。

《知識・経験を増やす方法》

情報があふれている時代なので、知識を増やす方法はいくらでもあります。ネット上には役立つ情報が大量に蓄積されています。最近ではYouTubeなどにアクセスすれば、動画であれこれ教えてくれるので、ストレスなく多くのことを学べます。

昔ながらの読書も知識を増やすのにはもってこいです。インターネットの閲覧に比べ、読書にはある程度の根気が要りますが、情報の正確性や精度はやはりまだまだ書籍の方が上です。正しい情報を得られるという点で、読書は優れた学習方法です。

ツールとしてなにを使うかはさておき、知識を増やす上で意識して欲しいことが一つあります。質ではなく量を目標にすること。ジャンルにはあえてこだわらず、なににでも好奇心を持ってかじり、系統立った知識を得るのではなく、大量の雑学を頭に詰め込んでください。

ぼくは一時期、図書館の資料コーナーに居座っていたことがあります。貸し出し不可の専門的な書籍を片っ端から読みました。各国文化や歴史、民俗学、医学や生理学等々、さまざまなジャンルの本を書棚の端から読み進めていきました。

面白いことに、雑学はあるレベルを超えると、まったく関係のないものがつながりはじめます。精神医学と民俗学がリンクして、独自の仮説が頭の中に浮かんだりするのです。案件を請け負った際に、与えられたテーマと自分の中にある知識をリンクさせられたら、他のライターが思いつかない多彩な切り口をいくつも考案できます。

経験を増やす方法として大切なのは、人に会って話すことです。老若男女を選ばず、とにかくいろんな人と出会って、彼らの話を聞いてください。取材は非常によいチャンスですが、整えられた場でなくても問題ありません。

ぼくはタクシーに乗ると必ず、運転手さんと雑談をします。「最近どうですか?」と水を向けるだけで、その地域の経済事情がある程度つかめます。あるいは「お勧めのお土産ありますか?」などと聞いてみるのもよいでしょう。

沖縄でタクシーの運転手さんから、「シングルマザーの事情」や「インバウンドで意外と儲かっていない建設業界の事情」などを教えてもらったことがあります。その後のライティングで、この情報が何度か役立ちました。

◆まとめ

いかがでしたか? この記事では「あなたにしか書けないコンテンツ」を書く方法を解説しましたが、もちろん簡単ではありません。読んで理解したからと言って、すぐに書けるものではないでしょう。

ただ、「考察力」を鍛え、意識的に知識と経験を増やせば、新規性・独自性の高いテキストをいずれは書けるようになります。

長々と書きましたが、伝え切れていない事柄がまだいくつもあります。質問等、ありましたらお気軽にお寄せください。わかる範囲のことであれば、回答いたします。

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