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花一つ、木一本、なくしたことを悔やんで、悲しくなって、つらいのは、なぜ?

わが家の道路に面した石積み。
その上には塀やフェンスを設置せず、低木とグランドカバー(下草)が植えてあります。

低木のハクチョウゲなどは父や母が植えて、もう50年以上たっているもの。
その下草にと、私が2019年に小苗を植えたのが、イブキジャコウソウとエリゲロンです。

イブキジャコウソウ、下記の「NHK みんなの趣味の園芸」サイトでの解説を拝借すると。


イブキジャコウソウは、北海道、本州、九州、朝鮮半島に分布します。比較的涼しい環境を好む植物で、緯度により高山帯から海岸線まで広く分布しますが、基本は高山植物です。細い枝に小さな葉を四方に茂らせて地を這うさまは、一見草のように見えますが、ごく小型の木です。初夏から夏に桃色の小さな花を地際で一面に咲かせる姿はかわいらしくほほえましいものです。ハーブとして人気のあるタイム(タチジャコウソウ、Thymus vulgaris)とごく近い種類で、同じように利用する品種もあります。冬は葉をつけた状態で雪の中で冬越しします。高山植物としては丈夫なもので、古くより栽培され人気があります。白花や斑入りのものも見られ、また、海外からもさまざまな種類が導入されて親しまれています。


そうなんです。
ここ、愛知県豊田市の温暖な地域では、ゴールデンウイーク明けの頃から初夏にかけて、小さなピンク色の花を咲かせ、ジャコウソウ(麝香草)という名の通り、とてもいい香りがするハーブのタイムによく似た、というより、そっくりで見分けが難しいとされる、日本のタイムとも呼ばれる小低木です。

イブキと付くのは、日本では滋賀県の伊吹山多く自生することから付けられたのだそうです。

写真は、小苗を植えてから5年経過した今年の様子。
石積みにしだれるように垂れ咲き、とてもいい感じになってきました。
これくらいのしだれ具合を保つようにちょっとだけ手を入れ、また来年、そしてまたと、ここにイブキジャコウソウが咲いて、初夏の訪れを知らせてくれることを楽しみたいなと、つい最近、そう思って、やっぱり草花っていいなと、我ながら、うまく仕立てたなと大満足。

イブキジャコウソウの少し奥、ハクチョウゲの根元に植えたのはエリゲロンです。

同じ一つの株から白い花と桃色の花が咲くので、日本では「源平小菊」と呼ばれたり、「ペラペラヨメナ」「アズマギク」と呼ぶ地域もあるようです。

そんな、石積みの上のイブキジャコウソウとエリゲロンの競演が、ここ数年の春から初夏の楽しみになっていました。

それが!
わが家の庭、現在、全体的に荒れ放題。

昨年末の乳がん疑いから、お正月明けの告知。
3月の入院・手術に続いて、5月9日から今も続く毎日の放射線治療。
1週間の入院時とその後2週間の自宅療養時以外、仕事を続けながらの乳がん治療ということもあり、体力も気力もギリギリで、庭仕事に費やす時間はなくなってしまいました。

そこで、その荒れ放題の庭を整備してくれることになったのが、自治会の活動グループの一つである「お助け隊」です。

高齢者だけで暮らしている家、特に一人暮らし高齢者の家の草刈り、枝払いなど、庭作業のほか、家具の移動や電球取り換え、簡単なDIYなどを請け負うボランティアグループですが、メンバー全員が、ご自身が高齢者の70代後半からと80代前半のおじいちゃんたち。

そのお助け隊の皆さんが、うちの庭を、徹底的に草刈りして、伸びすぎた木々の枝払いをしてくれることになったのです。

まだ高齢者とはいえにい私が対象者になっていいの?
と恐縮してしまいましたが、逆に、「お助けする世帯の幅を広げていきたい」という話になり、「若い人で病気療養中で体を動かせない人」も対象にしようよと!

えーーーっ、えーーーっ、わーーーーーーーん!
超嬉しいんですけど、と感謝感激。

実は、その「お助け隊」の立ち上げには、私も少し関係していまして。
昨年度と一昨年度、自治会改革の一つとして、役員を若手の住民にバトンタッチしていこうということになり、ひょんなことから私も副会長をやることになり、仕事(フリーライター・取材・編集・出版)を生かして広報も担当することに。

副会長一年目に「お助け隊」を結成してはどうかという私も含めた複数の住民から意見があがり、短期間のうちに有志が集まり、市の補助金申請も通り、昨年度の年度初めから活動を開始しました。

「お庭、きれいにするよ!」と、おじいちゃんたちが快く言ってくれたのは、「お助け隊」の立ち上げからこれまでの間の告知や広報、メンバー募集のチラシやポスター、回覧、市への提出書類などの作成を私がボランティアで引き受けていることもあるでしょう。

たとえば、こんな、新規メンバー募集の回覧・チラシとかも。

それで、先週の木曜日、5月30日の朝からお昼まで、ちょうど私が放射線治療に行っている時間に、徹底的に庭の草刈りと枝払いをしてくれたのでした。

作業にあたっての事前の下見と打ち合わせでは、前述のイブキジャコウソウが植えてある箇所は「やらなくていいですよ」と伝えておきました。

しかし。

しかし。

帰宅してみたら。

イブキジャコウそうも、エリゲロンも、
ないーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!

もう、それはそれは、徹底的にきれいにしてくれようとした結果です。

イブキジャコウソウが植えてある箇所は「やらなくていいですよ」は、刈ったり抜いたりしてほしくないからそう伝えたつもりでしたが。

「やらなくていいなんて遠慮してぇ、やってやるよー!」と変換されてしまったようです。

あっ、あーーーーーーーーーーーっ!

時すでに遅し。



私、それで、自分でも驚くほどに落ち込んでしまって、悔やんで悔やんで、悲しくなって、一人で涙を流してしまい、気持ちもつらくて、という日々を3日ほど過ごしました。

思い返してみれば、私が植え育てていたものを、元気だった頃の、庭仕事など大好きな父が刈り取ってしまったり、子どもの頃から庭にあった木を、あまりに大きくなっていきそうなのでと伐根したりと、そんな時も、なぜにそこまで、というほど落ち込んだ私。

いろいろなものごとに、わりと諦めはいいほうだけど、こと植物に関しては、どうして、どうして、そんなに落ち込んだり悲しくなったり寂しくなったり、つらくなったりするのか。

自分でもなぜだかわかりません。

が!

まあ、今となっては、まあ、いいさ!という境地にいたっています。

イブキジャコウソウもエリゲロンも、「刈って」くれていて、決して「抜いた」のではないので根は残っているんです。

また、一から育てて仕立てる楽しみがスタートしたと思えばいいさ、と。

はぁ、なんで、草花や木のことになると、そんな心境になってしまうのでしょうかね。

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