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【新発見】同じ絵を3時間見続けた結果…『限りある時間の使い方』より

オリバー・バークマンの著書『限りある時間の使い方』を読み、私は感銘を受けた。それと同時に、漠然と抱き続けた不安感が顕在化した。

「人生とはあまりにも短い」なんて言葉は耳にタコができるほど聞いてきたが、本書を読みその短さを客観的事実(数字)と共に再確認できたのだ。

しかし、私は悲観していない。むしろ、時間が足りないという漠然とした不安感から解放され、スッキリしているぐらいだ。

本書では時間という捉え方を考え直すきっかけがをたくさんえられるが、中でも興味深かったのがハーバード大学の美術史授業の課題についてだ。

美術史を教えるジェニファー・ロバーツは、最初の講義で必ず出す課題があると言う。それというのが「同じ絵を3時間見続ける」というもの。

限りある時間の使い方なんて厳かなタイトルに似合わない課題の紹介で最初は受け入れ難かった。

「そんな課題に何の意味があるのか」と、いや「そんな課題に意味があってたまるか」の方が正確な気持ちだろう。

しかし、内容を聞いていると腑に落ちた。

要は、この課題は時間を効率的に使おうとする現代人に対する警鐘なのだ。
現代社会においては「いかに時間を使わずスキルを身につけるか」が重要視されているが、実際はそんな短時間でスキルや知識は身につかないのだ。また、もし身についたとしてもそんなものに何の価値があると言うか。

物事を深く学ぶにはかなりの時間を要することを実感するために、彼女は同じ絵を見続けるという課題を生徒に指示している。
課題を通して、たったひとつの絵でも何時間も見ることでたくさんの発見があることを気づかせるために(ましてや、スキル習得などは言わずもがなである)。

そこで…いざ、実践!

2024年5月、京セラ美術館で開催中のキュビスム展に行ってきました!(口調変わってすいません笑)

その体験談・感想をこちらのnoteで共有します。

3時間の絵を見続けた結果… |キュビスム展【京セラ美術館】

3時間の鑑賞時間を費やすなら、自分の好きな絵にしたいと思い、美術館をぶらぶら。

なんとなく「牛がかわいい」と思って選んだのが「ロシアとロバとその他のものに」というマルク・シャガールの絵です(ロバでした)。

普段は美術館に行ってもふらふら歩きながら、小一時間周る程度で、同じ絵を何時間も見るという経験はしたことがありませんでした。

まずは絵の前に立ち止まり、絵の隅々まで見てみることに。「もう見るところがないな」と思って、ふと腕時計に目をやると…

5分も経っていない?!

驚愕でした。正直、この時点では時間の流れの遅さに嫌気がさしていました。

しかし、一度やると決めたからには負けられないと、眠気を押し除け、退屈さと葛藤しながら絵を見続けること1時間。

1時間ほど経った頃、ある変化がありました。
15分ごとに新しい発見が見つかるんです。さっきまで見ていた絵に変化はないのに

「ここに人の顔があるんだ」「髪の毛に黄色の絵の具が使われてるな」といった具合に、新しい発見がポロポロ溢れてきます。技術的な面でもそうですし、絵から読み取れるストーリーなども。

その後も続々と新しい発見が見つかり、いつの間にか絵画鑑賞から2時間が経っていました。

書籍の中では「後半1時間半はあっという間だ」的に書かれていましたが、僕は2時間半程度で新しい発見が終わってしまい、後半30分はまた退屈な時間になってしまいました…

さいごに

今回は『限りある時間の使い方』という本に書かれていた「同じ絵を3時間見続ける」という課題を行ってみた体験談を記しました。

今まで実感したことがない感覚に襲われて不思議な気持ちになることができ、大満足なアウトプットができたと思います。

本書でも述べられていたとおり、物事について深く知るには膨大な時間がかかることを実感しました。

しかし、我々に残された時間は限られています。
そんな貴重な時間を誰と過ごすか、何をして過ごすかを改めて考えるきっかけになりました。

ぜひ皆さんも本書をご覧ください!

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