もう一度、世界へ ~ 復帰への525日、挑戦へのリスタート【柔道男子81kg級 藤原崇太郎(旭化成)】
■525日の苦闘を刻んだ銅メダル
主審の左手が上がった。
それを見届け畳の中央へ戻った藤原崇太郎は、静かに一礼をした。深々と下げた頭を上げた表情は、勝利を収めた選手とは思えないほど淡々としている。畳を下り、素早く会場を後にする足取りに喜びの気配はなく、その背中はどこか怒りさえ秘めているように見えた。
2024年5月11日。柔道グランドスラム・カザフスタン2024男子81kg級。ケガのため遠ざかっていた世界戦の畳に、藤原は戻ってきた。一回戦から順当に勝ち上がり準決勝に挑