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スポーツコラム*ライティング

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スポーツライターに憧れた20代。いくつになっても夢に挑戦していたい。大好きなスポーツライティングをライフワークに育てるべく、様々なシーンに感じたストーリーをマイペースに書き綴りま…
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高校男子駅伝~地方の公立校を支える「地元力」

京都・都大路の42.195キロを、7人の走者でつなぐ全国高校男子駅伝。47出場校の多くを私立の常連校が占める傾向にある中、公立校が激戦を繰り広げる地方大会も少なくない。駅伝王国・兵庫県もその一つだ。   その兵庫県に、市民から「コウギョウ」の愛称で親しまれる小さな県立高校がある。強豪校がひしめく県内で、全国大会出場33回、全国制覇8回を誇る駅伝の伝統校だ。 人口3万8千人足らずの静かな田舎町は、少子高齢化が進み、小中学校の統廃合がまもなく始まる。地場産業の景気も下降の一途を

もう一度、世界へ ~ 復帰への525日、挑戦へのリスタート【柔道男子81kg級 藤原崇太郎(旭化成)】

■525日の苦闘を刻んだ銅メダル 主審の左手が上がった。 それを見届け畳の中央へ戻った藤原崇太郎は、静かに一礼をした。深々と下げた頭を上げた表情は、勝利を収めた選手とは思えないほど淡々としている。畳を下り、素早く会場を後にする足取りに喜びの気配はなく、その背中はどこか怒りさえ秘めているように見えた。 2024年5月11日。柔道グランドスラム・カザフスタン2024男子81kg級。ケガのため遠ざかっていた世界戦の畳に、藤原は戻ってきた。一回戦から順当に勝ち上がり準決勝に挑