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カップの底は

かちゃりとカップがソーサーに置かれ紅茶が注がれる。ふぅわりと上る湯気が鼻先に迫ったとき、琥珀色の紅茶に浮かぶ泣き顔と目が合った。すぐに顔をぐにゃりと揺らす。

一口目、温かさが伝わる。
二口目、甘く香ばしい香りが広がる。
三口目、渇いたのどがすっかり潤う。

もう泣き顔と目は合わない。

柴田淳「月光浴」の「コーヒーに月と星を浮かべて」という歌詞が好きでして。飲み物に何かを映して間接的に見るというのは何ともオシャレなものの見方だなと思うのです。そのあと飲み干すというのもいいなと。

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