じゃがいも+玉ねぎ+にんじん=?

じゃがいも+玉ねぎ+にんじん=?



仕事の話だけど。


お客様から「こんな感じのモノを考えてください」みたいな依頼があるのね。

で、セオリーで対応できる場合は適当な誰かが担当する。


でも中にはアイデア勝負みたいな案件もあって。いかにアタマを柔らかくして考えられるか、みたいなやつ。


そういうのだとセオリーじゃ対応できないから、担当者を決める前にみんなで案を出し合う。必須条件を共有して数日後の会議で一人ずつ案を発表すんの。


料理と同じって考えてもらえれば。じゃがいもと玉ねぎとにんじんがあります。この食材を使ってお客様が満足する独創的な料理を作ってくださいってこと。


で、数日後。会議の日だよ。みんなカレー作ってきてんの。鍋のフタを開けたら全員カレー。じゃがいもと玉ねぎとにんじんで作れるもの=カレー。セオリー通りじゃないか。セオリーカレーだこれは。どこが独創的なんだい。


何のためにみんなが集まったのさ。セオリーではいかんともし難いからでしょ。みんなの斬新なアイデアを必要としてんの。10人集まったら10人それぞれが他の人の考えないような案を考えてこないと。


カレーだけじゃないでしょう?その材料ならシチューだって作れるだろうし、肉じゃがもいけるんじゃないの? ほら、少し考えただけでもう二つも出たよカレー以外の料理が。つってもシチューも肉じゃがも独創的かどうかって言えばハテナだけどさ。


みんなそれぞれ忙しいから。明らかに手を抜いてんだよ。そもそも案を考え出すのが会議の前日とかなんだから、そりゃ斬新なアイデアなんて出るわけがない。加えて頭数が増えれば「誰かがやるだろう」って手を抜く人も出てくるし。働きアリの法則。


偉そうに言うけど、わたしは違うよ。わたしは絶対に人とかぶらないような案を考える。仮にものすごくいい案を思いついても「これ誰かが出しそうだな」って思えば捨てて次を考える。もったいないけどね。でもそれでこそみんなが集まる意味があると思うんだ。


だからわたしが考える案はいつも斬新。誰ともかぶらない。唯一無二の案。でも斬新過ぎて危なっかしいから採用率が著しく低い。悲しい。会社に貢献できてなーい。でもいい。これがわたしの生きる道。イイ感じ。


といっても斬新でありさえすればいいわけじゃないから。ちゃんと冷静な視点でのジャッジは必要。

巨大な小惑星が地球に急接近している時に、NASAの会議室に集まったトップレベルの科学者たち全員が「よーし! 石油発掘業者のオッサン連中に小惑星を掘削させて核爆弾を埋め込ませよう!!」って提案しだしたら人類滅亡まっしぐら。「いやそれハリウッド映画だから」っていう冷静な視点が必要。



それと最終的な案の選び方ね。「この中から多数決で案を決めます」とか言い出すんだよ。


いやちょって待って。いいのこれで? いま決をとったところで結局はカレーだよ? だってカレーしかないんだもん。お殿様は独創的な料理をご所望なんだから。カレーなんて出したら手打ちぞ。


もっとひどいケースだと、「出た案の中からどれにするかは上層部に委ねよう」って言い出すからね。

ざけんなって。自然薯の先っちょみたいな干からびた上層部のジジイどもに料理の味なんて分かってたまるかよ。どこぞのファミレスみたいにね。開発チームの皆様方が苦労に苦労を重ねて作り出した新メニューをオジイ社長の鶴の一声でボツになっちゃうみたいなのはこの令和の時代ではやめとけ。社長が味オンチだったらそれで終わりなんだぞ。どれだけみんなが力を掛け合わせても、その中に一人でもゼロがいたらゼロになるからね。無情。


何でこんなに偉そうなのかっていうと、今日は何だか無性にカレーが食べたくって。欧風じゃなくてインドカレー。カレーっていうかナンが食べたい。チーズナン。チーズナンがあればカレーいらない。今すごくそういうフィーリン。でも今日の晩ごはんは魚なんだって。サバ。塩焼きの。サバも美味しいよね。サバカレーも美味しいのかな。

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