呪われた女10
立川 M 生桃
たけのこ婆は、乞食の男がすんなりと四脚門をくぐってしまったのを見て、小走りに四脚門の前まで行った。
しかし。何故か? 考え込んでしまった。
それは、不老不死の108歳の女に会う前に、若い女や大蛇、乞食の男が、この屋敷にいる。
このまま、この大きな屋敷に入って大丈夫なものか? 恐る恐る四脚門もくぐった。
四脚門をくぐり、石畳をしばらく歩くと大きな屋敷が見えてきた。
何とそこはお寺のような神社のような建物であった。
建物の中央に3段の階段があり、そこに大きなお賽銭箱があった。
手前には鈴に五色の紐が三つ編みのように編んである。これを鳴らして、お賽銭箱にお金を投げ入れてみた。
すると、乞食の男が中から現れた。お前、やっと来たか。いやに遅かったな。
ここの先生が待っておられるぞ。早う上がってこい。
たけのこ婆は3段の階段を上がろうとすると、その階段が大蛇に変わってしまった。
ぎゃー。た。た。助けて。
すると乞食の男がお前、さざれ石を握って強い心を持って早うこちらに来い。
そう言って乞食の男が手を伸ばしてきた。
その手を掴んだ。たけのこ婆は、乞食の男に強く引っ張られて、やっとの思いで屋敷の中に入った。
すると、若い女が座敷に座っていた。
その部屋は、奥に大きな逗子があり、天井には見事な鳳凰の絵が描かれていた。
中央には、阿弥陀様の仏像が置いてあり、その脇に大きな花瓶に蓮の花が生けてあった。
左側には、大きな巻物が12巻置いてあった。
たけのこ婆は、屋敷の中を見ていると後ろから鈴の音がした。
しばらくすると乞食の男が先生。予約の相談者が5人来た。そう言って、若い女に話しかけた。
たけのこ婆は、その時に悟った。
私が探し求めた不老不死の108歳の女。少し前から知っているあの若い女だったのか。。。
たけのこ婆は、しばらく首を傾げて不思議に思った。
わたしゃ。これまでの苦労は何だったのか?
この、見た目が若い女は、人が悪い。これまでの、経緯を説明しているのに、なんなんだろう。そう思ってしまった。
すると、その若い女が、たけのこ婆に、般若湯を持ってくる様に言った。
たけのこ婆は、何処に般若湯があるのか? 聞くと若い女は、お前さんの家に決まってる。
そう言って笑った。
たけのこ婆は、やっとの思いで、ここまで辿り着いて、また一からだと思うと、ここでこの女に負けてなるものかと力んでしまった。
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