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DEVILMAN crybabyを見ました

ウルトラアニメ評論家オットセイです。
まさかの連続アニメくんの時間となります。僕も2日続けてアニメを一気見することになるとは思ってませんでした。
昨日DEVILMAN crybabyでも見ますか~なんて言って〆まして、今日Apexの調子が悪かったもんですから早速手を付けようと思って見始めたんですけど。
たったの10話しかないんですよこのアニメ。だったら余裕で一気見できちゃうじゃんっていう。
ネトフリのOPEDを飛ばして次にエピソードに飛んでくれるという仕様も相まって気付いたら見終わってました。

アニメオタクくんならNetflix=DEVILMANと考えるほど、面白いアニメ(でもネトフリでしか見れない)として有名な今作。
実際めちゃくちゃ面白くて見るの止まらなかったし、凄く僕の好きなタイプの作品でした。
が、間違いなく人を選ぶ作品でもあると思います。
まずこのアニメは成人向け指定がされてるんですけど、R-18扱いされるのにふさわしいエロ・グロ描写と内容のエグさでした。
こうした要素が苦手な方にはおすすめしません。
逆にイケるクチなら見て損はないでしょう。
3時間半もあれば見終わりますからね。
以下感想。









最初に言わせてほしい。

性描写が遠慮なさすぎる。

男性の半裸見たいな扱いの女性の乳首描写は当たり前。
その上割と普通にセックスしなはる。描写もしっかりしはる。
僕成人指定されているとは知らずにこの作品友達二人と一緒に見てたんですよ。
1話後半からいきなり乱交パーティーが始まっててあーこりゃやったかなと。気まずいったらありゃしません。

僕はこの手のアングラ作品が大・大・大好きなジャンルだし、こうした作品はエログロ描写がガッツリあればあるほど裏社会に身を投じてる感が増してどんどんやるべきとは思ってはいるんですよ。本来であれば大歓迎。
なんなら今どきこれだけ過激な描写が映像作品で出来るのかと感動したくらい。
“TV”アニメではなく、専属配信だからこそできる新しいアニメーションの形なのかと。

でもさ…人と見るにはさ…違うじゃん…?
なんならすでに何人かのネトフリ契約してる友達に「DEVILMANが凄いおもろいらしいで~」と勧めちゃってるし。
勧めたみんな、すまねえ…
視聴もしていないのに人に物を勧めるのは違いますわ。戒めにします。


作画については基本崩れることはなく快適に見れます。
キャラ作画は気持ちリアル寄り、戦闘シーンはかなり抽象的で独特な塗りです。
敵役である悪魔のデザインはかなり気持ち悪くエグいデザインがされています。禍々しいという言葉がよく似合う。
実に悪魔らしい悪魔です。虫っぽくて不快で良いデザイン。

そして肝心のお話ですが、10話とは思えない内容の濃さとと充実感でした。
序盤は俺TUEEEものとしてまず面白い。
中盤は社会の秩序が崩壊していく様とキャラクターに襲い掛かる絶望のラッシュ。
終盤では作品の謎が解き明かされ、主要人物の結末に目が離せません。
無駄な回や面白くない回が1話もなく最初から最後まで美味しい。

そして何よりこの作品の核だと思うのが、魅力的…というかイイ奴すぎる主要人物達です。
最後には味方に回り、善良な人間サイドとして戦ったチンピラ二人も好きだし(寝返った二人はカス)美樹の後を追い続け憎むも、最後には友情に気づいたミーコにも惹かれるものがあります。境遇も少し自分と似てましたし。

でも一番美しく輝いていたのが牧村一家と主人公たち。
信心深いキリスト教徒で良き父のおじさん、明含め子供たちのことをいつも気にかけているおばさん、生意気でも子供らしく元気な太郎。
人間としてもヒロインとしても美しすぎる美樹と心優しい泣き虫の主人公は本当によく似合うベストカップル。に、なってほしかったなあ。

あんなに幸せに満ち溢れて、見るも微笑ましい家庭だった牧村家の人たちに絶望が降りかかる姿を見ているともう…
おじさんが悪魔化した息子に何度も銃を向けるシーンは涙溜まりました。
愛する妻のため、太郎本人の尊厳と意思のためにも殺すのが一番正解と分かってはいても、隣人愛を謳うキリスト教徒のおじさんに家族を撃てるわけがなく。
殺してくれと言わんばかりの太郎の目から流れる涙と、あまりにあっけなくおじさんが撃ち殺されて悲しさと虚しさが止まりませんでした。
何の罪もない善良な“良い”人間が、理由もなければ解決策もないどうにもならない絶望に幸せや命が奪われるという流れに本当に弱いんですよね。
人が全力でした努力が報われない時くらい泣けます。
どうしてこんなに悲しい気持ちになるんでしょう。

そして、美樹に明が悪魔であることがバレた後から美樹が死んでしまうまでの流れがいっっっっちばんキました。友達と見てなかったら泣いていたと思います。
最後まで人間の善良な心を信じ、親友の犠牲を乗り越え、最後には走り続けた自分の足で地を蹴る。
あの流れで、あの流れで救われないまさか救われないとは思いませんでした。容赦なさすぎる。
ここまで誰も救われないBADENDを描くアニメ作品ってかなり珍しいと思います。

悪魔の存在を世界に知らしめた時や、美樹が死ぬ前にSNSに投降した時のインターネットの描写を見ているときに、ガッチャマンクラウズ1期を思い出しました。
あちらも、昭和の作品を現代版にリメイク?新作?にしたものですから近いものがあるのでしょうか。
現代要素を入れるにあたって、インターネットの描写に力を言入れるのが一番わかりやすいのかもしれませんね。

どうしてこんなに涙腺に来たのかなって考えたんですけど、ギャップにやられたのかなと思いました。
人間の“善”の部分と“悪”の部分を両極端に表現しているのがこの作品。
美しく人を思いやる心を持った明の周りの人たちが、人を疑い簡単に悪魔に踊らされる弱く醜い人間に命を奪われる。このギャップに。


そして最後に、主人公の明について。
僕は明が凄く好きな主人公だし、魅力的だと思いました。
やはり主人公に魅力なくして物語に魅力は生まれませんからね。

副題である『crybaby』が明を的確に表していて、それでいて凄く良い副題だと思います。
僕は英語ブロンズなんで、なんかカッケー単語やなw程度にしか思ってなかったんですけど、よくよく考えてみれば泣き虫って意味。
悪魔の姿でありながら人の心を持つ存在であるデビルマンになった主人公。
その主人公の「人の心」の部分を現すのが、人を想い泣き虫の明が流す涙なんですよね。

悪魔に取りつかれ、見た目も性格も変容した彼ですが、芯の部分では何も変わってはいないんですよ。

「彼は人のために泣く人なんです。
昔から、幼い時から明くんはそうでした。
私が意地を張って泣けない時も、代わりに泣いてくれました。

明くんが泣くときは、いつも誰かのためなんです。
自分が悲しいときは、全然泣かない。強いんです。
心が強い。だけど人一倍人のために泣く。
世界中が明くんみたいな人になったら、全ての人が幸せになるんじゃないかな。」

9話より美樹の投稿。まさにこの通り。
最初から最後まで誰よりも人間のことを考えて戦い続ける。
だからこその正義のヒーローデビルマンなんでしょう。



以上感想でした。
キャラも魅力的だし、過激な描写も厭わないし、日常に潜む非日常がたまらなく好きだし、テーマもビンビンに感じられる素晴らしい作品で僕は大満足でした。
が、間違いなく万人受けする作品ではないでしょう。勧める人、視聴する人は考えた方が良いと思います。

僕はデビルマンなんてVtuberのクソ動画にやたら出てくるくらいの知識しかったんで、この作品を見た後に元のデビルマンがどういう話かを調べたんですけど。
舞台を現代にしただけで、大まかには原作の漫画を追っている内容みたいですね。crybaby。
これが50年近く前の作品考えるととんでもねえですわ。古き良き作品とはまさにこのことでしょう。
手塚治虫なんかもそうですけど、漫画文化黎明期の作品って無難な作品が多そうに見えてかなり過激でピーキーな作品が多かったりするんですよ。
僕が見た古いアニメって1988年公開のAKIRAが一番古い作品なんですけど、更にその先へ進む日も近いかもしれません。

あと、監督の湯浅政明さんがピンポン THE ANIMATIONの監督でもあるというのがひっかかりました。ピンポンも凄く好きなアニメなので。
確かに言われてみれば戦闘シーンの動きや作画なんかはピンポンに近いものを感じます。
前クールの映像研の監督もされているそうなので、凄く見たくなってきました。次に見るアニメはこれかなぁ。

オットセイに課金してもガチャは回せません。