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傷つけたくないけど、傷つきたくもない

私は日頃から政治や社会に対して色々と意見を言っているけれど、ジェンダーとセクシュアリティにかかわる諸問題、特に性被害に関係する問題については、コメントを避けてきた。この問題は誰もがポジショントークになって客観的な意見をするのが難しいし、同じ内容の意見でも、誰が発言するかによって意味や受け取られ方が大きく変わってしまうからだ。
コメントするにも、たくさんの注釈やことわりを入れることになるし、最大限気を遣ったつもりでも、だれかを無意識に傷つけてしまうかもしれない。コメントしたくても、問題意識を感じていても、さまざまな理由で意見を言えない、言いたくない人が、たくさんいるのだと思う。

私もその一人ではあるけれど、ふと思い立って少しだけ書くことにした。
また書くかもしれないけれど、とりあえず今回は以下の2つの話題について書こうと思う。

あらかじめ断っておくけれど、私の意見が"正しい"わけではない。立場が違えば考え方、捉え方も変わってくると思う。あくまでも私の視点からの発言であって、決して客観的でも中立でもない。また、気を遣って書いているつもりではいるけれど、知識不足や配慮不足で誰かを傷つけてしまうかもしれない。ご理解くだされば幸いです。

1 男性と性被害について

前提として、単純に男女で分けたとき、性被害にあう可能性は女性のほうが圧倒的に高いはずだ。だから、「女性に生まれただけで、不利益を被る可能性が高い」というのも、性被害の面において、マクロ視点では事実だと思う。
だけれど、それはあくまでも傾向であって、普遍の真理ではない。また、大きく男女でくくるのはいいけれど、だから男は!だから女は!と十把一絡げにして声を上げることには必ずしも賛同できない。
私は心も体も男性だし、背が低かったりジェンダーニュートラルな見た目だったりというわけでもない。それでも、書けるレベルのことであれば痴漢に複数回あっているし、望まない人に体の望まない部分を大勢の前で触られたこともある。詳細は言わないけれど、女性含めあったことがない人のほうが多いであろうような性被害にもあっている。
女性に比べて対象範囲は狭いぶん、影響は小さいのかもしれないが、いまだに自分より背が高くて体の大きい人は苦手というか、反射的に恐怖を覚えてしまう。

発言者に悪気がないのはわかっていても、「男にはわからない」「男は安全だ」などの言葉を見るたび、私は悲しくなる。
決して女性の被害を軽視するわけではないし、一般に女性の方がはるかにリスクが高いことも理解している。それでも、十把一絡げにされると、私は悲しい。
別に誰かに説教したいわけでも、私の正しさを認めてほしいわけでもないけれど、ただ、私は悲しい。

2 男性という加害性について

「男性を性犯罪者予備軍扱いして…」という文字列を見かけた。
これもマクロの傾向にすぎず、十把一絡げにするわけではないけれど、平均的には男性のほうが女性よりも力が強く、暴力をふるったら男性が勝つことのほうが多いと思われる。だから、一般に男性は女性に対し「加害されるかも」と思うことは少なく、逆に女性が男性に対し「加害されるかも」と思うことは多いだろう。
この前提をふまえれば、私は、男性が女性に対し「加害しないことを積極的に表現していく」のが必要なのではないかと思う。それはつまり、「自分が加害者の可能性がある存在として見られているかもしれない」と男性が認識することであって、たとえば適切に距離を取るとか、不用意に2人きりにならないとか、相手との関係性によって配慮した行動をするということなのではないか。女性はすでに多くの場面で男性に対して(加害されるリスクを減らすために)気を遣っているのだから、同様に男性も気を遣うべきだ、という話ではないのか。
実際に女性の側にどう思われているかは別として、私は一般に女性に対して恐怖や不快感を与えないように振る舞おうという思いは持っている(実現できていないとすれば、不徳の致すところです)。私の感覚としては当然のことなのだけれど、指摘や注意をされたときの受け止め方で「俺のことを性犯罪者予備軍扱いして…」と感じる男性もいるのだろう。
ほとんどの男性は、自然な状態で「攻撃性」「加害性」を持っていると思う。それを自覚すれば、おのずと振る舞いは変わってくると思うのだが…。


まとまった文章にしようとしても、どうしても技術文書っぽいというか、なんだかあたたかみのない文体になってしまう。悲しい。
本当は、もっと心に沿うような文章を書きたいのだけれど。気が向いたら、加筆するかもしれない。

別になにかをまとめたいわけでも、どこかで起こっている議論を止めたり整理したりしたいわけでもない。ただ、私は自分の思いを書き留めておきたい。それだけです。