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カメラにおける段

デジタルカメラは撮像素子(光学センサー)がとらえた光をデジタル情報に変換して記録する装置であり、光が命である。光が強すぎても弱すぎても美しい画像は得られない。撮影においては光のコントロールが重要である。

光量をコントロールする要素

撮像素子がとらえる光量をコントロールする要素としては以下の3つがある。

  • シャッタースピード(以下SS)
    光学センサーを露光させる時間である。光の量を2倍にするにはSSも2倍にすればよい。単位は秒。

  • F値
    レンズを通過する光の量の逆数。厳密にいうとレンズ口径と焦点距離の比率である。レンズ比率なので単位はない。
    レンズは円形であり、レンズを通過する光はレンズ面積 πr² に比例する。レンズ半径を√2倍にすると レンズ面積が π(√2・r)²=2πr²となり、通過する光量が2倍となる。

  • ISO感度
    撮像素子が光の量に対して反応する度合い。薄曇り程度の日中にF値8とした時のSSの目安を数値化したもの。ISO100なら1/100秒、ISO400なら1/400となる。ISO感度の数値が2倍になると感度も2倍になる。

段数の概念

SS、F値、ISO感度はそれぞれ密接に関係しているのだが、それぞれ単位が異なるため、そのままでは相互の関係性がわかりにくい(SSとISO感度はわかりやすいが)。
ここで、体育館で運動する子供を撮影する状況を考えてみる。
運動開始前にほぼ子供が動かない状態でSS1/200、F5.6、ISO1600で適正に撮影できていたとする。運動中はSS1/800にしないとぶれて撮影できない、となったときにF値、ISO感度をどのように変更すればうまく撮影できるのであろうか。
この時に、SS、F値、ISO感度を統一的な単位で表現することができれば調整がわかりやすくなる。そこで出てくるのが「段」である。SSを2段上げ、F値を2段下げれば光量は変化しない。もしくはSSを2段上げ、F値とISO感度をそれぞれ1段づつ下げてもよい。

段と対数

段数の差分はSS・ISO感度は2、F値は√2を底とする対数の差分である。
例えばISO感度の場合、ISO12800とISO400の段数の差分は
 log₂12800-log₂400=5
であり5段の差があることになる。わざわざ対数を計算するまでもないのであるが。

手振れ補正と段数

手振れ補正の効果にも段数が用いられる。
α9IIIの手振れ補正効果は8段となっている。これは、手振れ補正機能を使用しない状態でSS1/12800と同等の撮影が手振れ補正を有効にすると1/50で撮影可能ということである。

写真表現との関係に注意

光のコントロールという意味では上記のとおりであるが、

  • SSは被写体の動きの表現

  • F値は被写界深度

  • ISO感度はノイズ

にそれぞれ影響を与える。光のコントロールとともに上記の要素に与える影響も考慮しつつ設定を行う必要がある。

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