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「世界観」とは何か?<連載02>

世界観を辞書で引くと、大体下記のような言葉が書いてあります。

「世界観とは、世界とはこういうものだという世界に対する見方」

ちなみに世界観の英訳は「worldview」です。また「世界観」という言葉は、世界に対しての見方だけでなく、「その中で人はこう生きるものだ」という考察を指すこともあります。

つまり自分にとっての「世界」を定義することで、自分の人生において何に価値があるかという価値観も含まれてくるのです。結果、「自分にとって世界の意味、価値あるもの」を指す言葉として使われることもあります。

その意味では、近い言葉として「人生観」があるでしょう。

「人生観」は、人生に対する見方を指し、自分の人生について、目標・意味・価値などについての見方を表しています。自分にとって人生とは何か、人生をいかに生きるべきか、についての考え方を示すものです。

「人生観」は自分の人生についての考察ですが、他人には他人の人生観があります。それらの集合体として世界があり、自分目線でそれら世界全体をどう見ているかというのが「世界観」なのです。

そして「世界観」に関しては、もう一つの意味があります。それは「作品がもつ雰囲気や状況設定」といった意味です。大体辞書などでは、一番目に「世界に対する見方」がきて、二番目にこの項目が後付けされていることが多いです。

先ほどの「worldview」は、世界の内側にいる自分の主体的な目線ですが、これとは視点の位置が違い世界を「外側から捉えた時に生まれる世界の見方」と捉えるとイメージしやすいと思います。外側から世界を捉えるので「設定」というニュアンスが強くなるのです。

前回の記事でも書いた「ハリーポッターの世界観」などという言い方をする時には、その作品世界を外側から捉えるため、自分がいる世界との「差異」が、その世界の特徴として浮かび上がってくるわけです。

この外側から世界を捉えた見方に関しては、「worldview」に相対する言葉としては「worldbuilding」や「worldbuild」という言葉を当てられることが多いです(「worldbuild」という言葉の方をよく聞きますが、正式な英単語としては「worldbuilding(架空世界の設定や表現)」のようです)。

ちなみにWikipediaなどで「世界観」のページを見ると、この後発的な意味合いに関しては、「誤用」という表現がされています。

遅らく「設定」的な意味は、文学や芸術などが架空の世界を描いたものが多く作られ広まるにつれて、徐々に浸透してきた概念なのでしょう。

ただ現在では、ライトノベルやアニメなどに代表されるように、現実と違う設定で繰り広げられる物語がとてもポピュラーです。結果、現代においては、むしろ「世界観」の意味はそちらで使われていることが多いと言えるかもしれません。

今回は「世界観」に関して、辞書的な意味から考察しました。次回も引き続き、世界観に関して考察を進めていきたいと思います。

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