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「世界観とは何か?」<連載10 世界観のストラクチャーを考える②>

前回、世界観には大中小あり、それらを使い分けているという仮説を提示しました。今日は、そこにワールドビュー、ワールドビルディングという概念を交えて、考察を進めていきたいと思います。

ワールドビュー、ワールドビルディングの定義に関しては、以前の連載で書いていますが、ざっくり言うと、ワールドビューは「世界を内側から見た時に見える世界のあり方」、ワールドビルディングは「世界を外側から見た時に見える世界のあり方」ということになります。

現代は、ワールドビルディング型の世界観が溢れている時代です。それは以下のような理由からだと考えます。

①SNSなど複数のコミュニティに接することが多い(今後、メタバース、VRなどでますます進化する可能性が高い)
②VFXの進化などにより、映画、マンガ、ゲームなど異世界のリアリティが高くなった

つまりは情報社会において、生身が生きる行動範囲だけに広がる世界ではなくなって、時に作られた世界を含めて、多様な世界を認識、選択して、そこに没入しているということです。

ワールドビューは、それらの体験を元にして、集積結果として半ば自動的に作られるものですから(経験によって価値観が変わるのとほぼ同じで、その集合体が、世界とはどのようなものであるかという世界観になる)、ワールドビューは唯一のものではあるのですが、それを構成する情報量(ワールドビュー型の世界観)がとても多いと言えます。

前回話した大中小の世界観は下記ですが、

・大世界観は、その人の生き方の軸となるものであり、基本は一つ。
・中世界観は、生活する文化などによっても変わり、大世界観と繋がりつつも、変化、あるいは複数持つことが可能。
・小世界観は、その時触れるもの、選ぶものという形でシーンやフィーリングに合わせて、都度選択する。

この仮説と組み合わせていくと、大中小と小さくなっていくに従って、ワールドビルド型の世界観との相性が良くなっていくのが分かります。

小世界観は、大世界館のような、根本としての世界の認識までは届かずとも、その瞬間、受け入れたり、お試ししたりすることができる世界館です。

現実の地球では、魔法は使えないし、宇宙人が攻めてはこないけれど、そういった設定の中で、小さな希望が叶ったり、ストレスが発散できたり、そういう形で我々は選択を繰り返しています。

まさに、エンターテイメントやレジャーで、いっとき日常から切り離して、違う世界観を楽しむ場合がこの小世界観には当てはまります。

もちろん、そう言った小世界観的、ワールドビルディング的世界観も、時に自分の奥までブッ刺さることがあります。場合によっては、それこそが世界のあるべき姿だというところまで共感することもあるでしょう。

そのような場合もあるし、大世界観、中世界観とはズレていても選択して、一枚そのフィルターを重ねるように、一時的な世界観を生きる(味わう)ということが日常茶飯事になっているのが現代の特徴ではないかと思うのです。

次回は、この大中小の世界観の関係性についてもう少し考察していきたいと思います。



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