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プロパガンダにより突然起こる生活の危機

 アメリカではアジア系への人種差別が顕在化しているという。多くのことを制限されることになったこのコロナ禍の矛先を人は必死に探しているようだ。もちろん、その先は中国へと向く。

 海外に行ったことの無い人は分からないかもしれないが、アジア人はほとんどの場合全員中国人と見做される。

 それは我々が西洋人を見るとみんなアメリカ人と思うのと同じである。少し教養のある人であれば〇〇国の人という見方はせずに「アジア人」と一括りにするのだが、世界の多くの人はそこまでの判断ができるほどの教育は受けていない。

 今までは別に中国人だろうが日本人だろうがどうでも良いと言えば良かった。恐らく中国語を真似てバカにしているのだろうという教養の無い人間から軽く人種差別的な行為を受けるぐらいだ。しかし、今回は「コロナ」という憎悪が加わっているので身の危険を感じる場面もあるようだ。実際に本校の生徒でこの期間留学に行っていた生徒たちも差別を経験したり、身の危険を感じたりという場面があったようだ。

 恐らく一昔前であればここまで大きな差別問題に発展していなかったように思う。人が情報を得る手段は新聞かテレビぐらいしかなく、そのような媒体で不正確に「中国が原因だ!」などというデマが拡散することはなかった。しかし、今はどのような教育レベルに達しているか問わず、全員一律に情報が拡散される。特に、アカデミックの分野で生きたことのない人間はどちらか一方の、特に過激な方の情報に流されやすい。それは、芸能スクープを取り上げる記事がいまだに売れているのと同じことだ。

 よく生徒たちに伝えるのだが、「我々は今、人類史上一番難しい時代に生きている。」なぜなら、何が正しいのか道標がなくなってしまったからだ。SNSが無いから目の前のことに集中できたし、将来だって先生が言う通り「良い大学」を卒業しておけばとりあえず安泰だった。しかし、今は再三述べている通り個の時代である。「どこの大学を出て、どれぐらい優秀か?」というよりは「あなたは一体何ができるのか?」を問われる時代だ。

 そのような時代を生きる中で、自分自身をしっかり保ち、それを行動に落とし込み、最後は発信もしなければどんどんSNSタイムラインの下の方に追いやられてしまう。「あなたの経験SNS発信代行サービス」とかあれば本気で売れるのでは無いかと思ってしまう。

 これからの世界は分断が広がる中での個の融合が進むと見ている。つまり、みんな仲良くではなく、時と場合によって融合し、そして解散する。その繰り返し。そんな時代に生きるからこそ、自分で学び、考え、行動し、発信する。その力を磨き上げて欲しい。

  

世界を旅するTraveler。でも、一番好きなのは日本、でも住みたいのはアメリカ・ユタ州。世界は広い、というよりも丸いを伝えたいと思っている。スナップシューターで物書き、そうありたい。趣味は早起き、仕事、読書。現在、学校教員・(NGO)DREAM STEPs顧問の2足の草鞋。