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繊維・アパレル業界におけるSDGs2

理想の環境を実現する為、地球規模で取り組んでいる持続可能な開発目標「SDGs」。(内容は前回参照。)非常に大きな課題への取り組みなので他人任せではなく国、企業、個人が各々の立場から意識して行動し一丸とならなければ達成できない目標です。

繊維業界が取り組むべき大きな課題は環境問題です。

・CO2排出量の削減

繊維の生産によるCO2の排出量は全世界の排出量の10%。地球温暖化防止の為これを減らす努力が求められます。

繊維業界は例えば衣類を作る為の生地の元となる糸の素材となる分野です。アパレルショップが川下なら繊維業界はその分野の川上に位置します。途中生地を作る等の川中の企業もあり、いろんな企業の製造工程を経て衣類になっていきます。川上・川中・川下がそれぞれ自分の守備範囲だけを考えるのではなく、川上の繊維業界から川下の更に先、消費されて廃棄されるまでを通してCO2排出量を考えなければ答えは出ないような気がします。
例えば衣類をリユースしそれに伴い製造量を抑えられればCO2排出量も当然抑えられます。しかし経済を優先するとなるとこれもまた難しいのかもしれません。


・廃水量の削減


繊維業界の生産による廃水量は全世界の廃水量の20%と言われています。水の大量消費・汚水問題等の課題に取り組まなければなりません。

例えば綿のTシャツを1枚作るのに必要とする水の量はなんと2700ℓ。これは1枚のTシャツを作るのに必要な綿花が250gでこの綿花を育てるのに必要な水の量です。そんな中SDGsへの取り組みが始まり、サスティナブルが意識される中で注目されているのがオーガニックコットンです。簡単に書きますがオーガニックコットンだと必要とする水の量が243ℓと9割削減できるとの事。人口的に水を使うのではなく天水などに頼る為、綿花栽培にはそれに合った環境が必要にはなります。その為かコットン全体でみてオーガニックコットンの普及率は未だに1%程度と言われています。

また汚水問題も大きな課題です。対策を行わないと自然環境、生活飲料水などを汚染してしまいます。特に衣類の染色と仕上げの工程で多くの廃水が出ます。技術的に廃水を減らす事は可能な様で、これは生地の段階ではなく、その前の糸の段階で染色する技術をつかえば水の使用量を大きく削減できるそうです。しかしコストがかかる為ロットを多くしないと採算が合わないようです。ここでも経済的な理由が壁となっています。


・新素材の開発


求められる素材は生分解が可能なサスティナビリティ素材。問題視されているマイクロプラスチック問題を解決する為、素材を見直す必要があります。

石油などを原料として人口的に作られる合繊素材がマイクロプラスチック問題を引き起こしています。マイクロプラスチック問題とはポリエステルなどの合繊から出る5ミリ以下の微小なマイクロプラスチックが起こしている海洋汚染・海洋生物の生態系の破壊です。
その対策として効果的なのが3R(リデュース・リサイクル・リユース)と言われていますが、そもそも元の素材が生分解素材であれば3Rの前段階で解決できます。生分解の素材は人工的な繊維ではなく自然由来の繊維を使った物です。天然繊維の製品が増えれば環境は間違いなく良くなります。しかし問題は天然繊維は合繊に比べて総じて値段が高めなので、ユニクロやしまむらなどのとても便利な大手ファストファッションには向きません。


こうして考えてみると経済的な壁が多い事に気づきました。これまで地球環境を犠牲にして経済を回してきた結果が現状なのでしょう。
SDGsの期限2030年まで残り約10年。この10年で繊維業界がどれだけ目標を達成できるか、目標達成の為には企業まかせだけではなく個人個人が考えて行動する必要がありそうです。


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