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ニュージーランドのウール

ニュージーランドと言えば羊。なぜそう言われるのかというとニュージーランドは人口一人当たりの羊の数が人間の数より多いからです。羊と言えばオーストラリアやヨーロッパ各国にもたくさん存在しますが、今回はニュージーランドのウールに注目してみたいと思います。
ニュージーランドの羊毛は世界のいたるところでバラエティ豊かな製品に使われています。ニュージーランド羊毛の使用用途ベスト3は

1位 カーペット   45%
2位 ラグ      15%
3位 ニットウエアー 11% 

です。その他にも梳毛・紡毛織物、ツイード、手編毛糸、寝装品、フェルトなどにも使用されています。

ニュージーランドは人口わずか330万人の小さな国ですが、クロスブレッドウール(雑種羊毛)の供給国としては世界最大です。全国に散在する
38000軒の牧場で5500万頭の羊が年間22万トンもの洗い上げ羊毛(1日当たり6000トン)を生産しています。その内大部分は原毛状態で輸出されますが、最近ではカーペット糸の状態での輸出も増加しています。ニュージーランドは農業に適した国であり、温暖な気候と均衡のとれた降雨が清潔な大地を育み、羊の飼育に適しています。そうした条件がニュージーランドの羊毛に清潔で白く夾雑物がほとんどなく、十分な供給が可能で理想的な繊度で強い羊毛を産出し、しかも様々な用途に適合するバラエティ豊かな生産を可能にしています。

ニュージーランド5500万頭の羊は様々な種類に分けられます。その中で一番多いのが食肉・羊毛兼用の「ニュージーランドロム二ー」です。
ロムニーと他の羊の交配から生まれたのが「ペレンデール」「クープウォース」などです。ここからニュージーランドのコースウール(32~40ミクロン)は総括して「クロスブレッド」あるいは「ロムクロス」と呼ばれています。
ニュージーランドのクロスブレッドウールは最もきれいで白いと定評があります。カーペット専用羊「ドライスデール」のような鈍い白黒色とも違う中間度合いの光沢を持ち、有色羊毛や植物性夾雑物もほとんどありません。
また大変高い歩留まりを誇り、洗い上がりで平均80%近くも残ります。

こうした特徴からニュージーランドのクロスブレッドウールはその加工特性が国際的に評価されています。染色性も良く非常に強力なのでカーペットのように耐久力を要求される製品分野で補強目的にも活用されています。
しかもニュージーランドウールは安定した生産がなされているのでいつでも均一な羊毛を入手する事ができます。

ウールはその繊維の太さによって価値も変わり、繊維が細い原料を使って作るスーツから太い原料を使って作るカーペットまで様々ですが、ニュージーランドウールは太番手羊毛を基本として世界中で愛用されています。
スーツなどの衣類に使用される細番手のウールは「メリノ種」がメインになりニュージーランドにもメリノ種は生息していますが産毛量はそれほど多くはありません。細番手のウールの産毛量が多い国はといえばオーストラリアです。同じ羊でも国によってとれるウールの品質は大きく変わるのです。


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