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【墨】麻薬カルテルに逃げ腰なメキシコ政府高官。


かつて、メキシコで最大勢力を誇った麻薬組織シナロア・カルテル(CDS)は現在いくつかの派閥に分かれており、分離した派閥との内戦に直面している。エルチャポの四人の息子が率いるCDS主要派閥のロス・チャピトスはハリスコ・カルテルと数年間に渡り同国内での覇権争いを行っており、これによりメキシコ西部と北西部で多くの民間人に危害を与えている。

シナロア・カルテルと友好関係にあるガルフ・カルテルは今年の三月上旬、メキシコ北東部の都市マタモロスで米国人2人、地元民1人を殺害しており米国政府はメキシコへの渡航自粛を呼びかけている。マタモロス事件について


ハリスコ・カルテルと逮捕に逃げ腰になる政府高官たち

ハリスコ州に拠点を置く新興麻薬組織のハリスコ・ヌエボジェネラシオン(CJNG)が支配権を強めており、同組織はカリエンテ地域でメタンフェタミンやフェンタニルの麻薬の密売や、誘拐、恐喝(特に農家に対して)、石油パイプラインの盗聴などの犯罪に関与している。

ハリスコ・カルテルは2016年に同国で起きた殺人事件の半数以上に関わっているとされており、米国麻薬取締局(DEA)はハリスコのリーダーである、ネメシオ・セルバンテスに対し1000万ドルの懸賞金を賭けている。

2019年には、ロス・チャピトスの指導者の一人を逮捕、シナロア州で大きな暴動が起きた。治安部隊は政府高官からの命令を受け彼を釈放した。

2022年の8月9日に、ハリスコの幹部エル・ドブレ・Rが逮捕されたこと受け、同日の夜、メキシコ北部のバハ・カリフォルニア州ティファナで治安部隊とハリスコの構成員が衝突し、少なくとも3人が死亡、25軒以上の店、民家が放火され、19台の車両が破壊された。その2日後、同構成員は飲食店やコンビニなどを襲撃、少なくとも10人が死亡し、この一連の事件で17人のハリスコ構成員が逮捕された。

これに対し、メキシコ政府は350人の陸軍をバハ・カリフォルニア州に派遣し、治安の安定化に努めた。

この様なカルテルの指導者、上位幹部を逮捕することにより、更なる暴動が予想されるとしメキシコ当局はカルテルの指導者、上位幹部の逮捕に対して逃げ腰になっている。

実際に今年3月上旬に起きたガルフ・カルテルによる誘拐、殺人事件においてもガルフの幹部ではなく下位構成員5人を米国に引き渡しただけである。

メキシコ最大規模の麻薬カルテルのロス・セタス・カルテルはグアテマラの元特殊部隊員や米国、イスラエル、コロンビアの傭兵などのエリートで構成されており、戦闘機や対空ミサイル、戦車などを保有している、もはや軍である。

更に、現汚職警官や元警官によって構成されるフアレス・カルテル…

裏切り、情報漏洩、要人暗殺、スパイ、多くの問題を抱えるメキシコ政府はこの状況を打開できるのであろうか。
過去にメキシコ政府は米軍の介入を要求してるが、筆者はそれだけは回避すべきだと考えている。

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