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絵に人生を詰め込んだような天才画家の生涯

明けましておめでとうございます。今年も関西の美術展を中心に、色々お出かけしてこちらのnotoを更新しようと思っているので、よろしくお願い致します。

さて2020年の美術展一発目は、あべのハルカス美術館で行われている『カラヴァッジョ展』に行ってきました。
なんというか、新年なんだから、もう少しお目出度いものを観に行けばいいのに……。と自問自答しつつ、正月休みに美術館行く人もあまりいないだろうと思ってたら、意外と人多かった。

カラヴァッジョ展を観る前に一点注意していただきたいのが、今回先行配布チラシに載っていたカラヴァッジョの『ホロフェルネスの首を斬るユディット』と『瞑想するアッシジの聖フランチェスコ』は展示不可になっています。

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カラヴァッジョのユディットは、世に数ある首切りユディットの中でもひときわ生々しくて、一度本物を観てみたかっただけに残念です。

今回のメインであるカラヴァッジョは、ルネサンスが花咲く時代に活躍したイタリアの画家。
思わず目を見張ってしまう首を斬るユディットの生々しい表現からもわかるように、写実的な技法と光と陰を使った画法が得意な画家……なのですが、その人物像もかなり破天荒。

絵筆から剣に持ち替え、街のあちこちで何度も騒ぎを起こし、せっかく騎士の称号をもらっても乱闘で称号を剥奪、そしてついには人殺しをして追われる身となります。
しかし展示内容を観るとよくわかるのですが、かなりの嫌われ者だったにもかかわらず、生涯パトロンには困らなかったようで、脱獄犯でありながら、各地の有力者たちのおかげで絵を描き続けることができました。

その波瀾万丈な人生を表すかのように、カラヴァッジョの描く人物の表情は、どこか苦悶に満ちたものが多いです。

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こちらは抜歯のシーン。当時は当然のことながら、麻酔もなければ医療知識もない。床屋を兼ねたモグリの医者が無理やり歯を抜いていたのですが、悶絶する患者、歯を抜くのに必死な男を囲みつつ、観客のように興味津々で眺める人々がシュールです。

こちらは告知用のものですが、館内にある実物でそのリアルな表情を見ていると、自分もその場に居合わせている臨場感があります。

あと余談ではありますが、原田マハさんの『風神雷神』という歴史アート小説にも俵屋宗達の関係性と共にカラヴァジョが重要な立ち位置で出てくるので、ぜひ読んでみてください。









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