見出し画像

ウィーンのモダンで洗練された文化を追う

画家クリムトが活躍した世紀末ウィーンは、ちょうど第一次世界大戦が始まる前。オーストリア=ハンガリー帝国が華々しく中東欧に君臨し、ヨーロッパの文化や芸術が花開き始めた時代でした。

『ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道』は、クリムトとシーレの絵画をメインにしつつも、女帝マリア・テレジアの時代から、約二百年ほど駆け抜けるかのようにしてウィーンの文化をまとめて観ることができる展覧会です。

実はこの展覧会以外にも、今年はいくつか『クリムト展』という形でクリムトの絵が日本に来ているのですが、今回大阪で開催されていたのはクリムト個人というよりも、ウィーンの文化を中心とした展示になります。

グスタフ・クリムトはウイーンで活躍した画家。当時のウイーン、というかオーストリア周辺は、目まぐるしく領土と国名が変化する激動の時代でありました。

特にあの辺りの土地を支配していたハプスブルク家、さらに言えば肝っ玉母ちゃんであり、フランスへ嫁いだマリーアントワネットの母でもある女帝マリアテレジアが有名ですね(ハプスブルク家は近親婚がすさまじくエグいことでも有名……)

ちなみにハプスブルク家は美術品に関してかなりの目利きがあり、その膨大な世界屈指のコレクションは、のちの美術館展示に繋がるギャラリーの整備や、啓蒙的観点から一般公開が開始されることへと続いていきました。

そんな、芸術に関しては少しだけ開かれていった時代のウイーンの展覧会。
絵画だけでなく、建築様式・インテリア・ファッション・モダンなポスターデザイン、と様々な角度で当時の文化が垣間見えてとても面白かったです。
しかし歴史をもっと勉強しておけばよかったと、こういうときに悔やまれる……。

特に椅子とキッチン用品のデザインが洗練されていて、現代でも普通にセンスの良い家具として使用できそうなほど保存状態がよかったです。
花柄の壁が描かれたアパートのデザインは、思わず「こんなところに住みたい!」と口に出てしまったほどにオシャレ。
さらには都市開発に伴ってインフラが整備されていくなか、次々と建てられたであろう緻密で豪華な公共施設のデザイン画は、一見の価値ありです!

あとちょっと「ふふっ」となったのが、検閲前と検閲後のポスター。
検閲前は男性の性器がはっきりと描かれているのが、検閲後、構図は同じでも性器部分が枝に隠れるようにして木が描き足され、修正されていたこと。
当時も色々と規制があったんだなぁ。としみじみと感じてしまいました。

今回のメインを飾る、クリムトの『エミーリエ・フレーゲの肖像』は、何と写真撮影可とのこと!
海外の常設展と違い、基本日本の大規模展覧会の作品は借り物が多く、ほとんど写真撮影が許可されていない場合が多いのですが……。今回はいいのか!?と思いつつも、いっぱい撮ってしまいました。
写真ではやはり伝わりにくいので、絵画はぜひ本物を観てほしいですね~

ウィーン・モダン展の料金で、館内にあるもう一つのコレクション展示も観られるのでちょっとお得な気分になります。

昨日は天気のよい休日でありながら、比較的まったりと観ることができました。
国立国際美術館は最寄り駅からでも少し歩かないといけない不便な場所にあるのですが、季節は秋。
開催期間はまだまだありますので、文化的な一日を過ごしたい時に、ふらっと行ってみるのはいかがでしょうか??


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?