見出し画像

AI時代、「アナログ人材は不要か」問題

プログラミングしながら思うこと AIの未来とアナログ人材

コードの話ではなくって、今回はプログラミングやりながら思ってることをつらつらと。

仕事上普段、平日はRを使いごりごりと。最近おくればせながら、Pythonも勉強し始めました。

東大の松尾教授の研究室で公開されている演習コンテンツページとか見ると、ありがたいなぁと思いつつ…
これを10代、20代前半でガシガシやってのける東大生ってやっぱすごいわと思うこの頃です。
社会人でも応募できるDL4USとかも魅力的。GCIオンライン講座の選抜試験もPythonでしたね、ほぼ行列だったけど。
今から開講が楽しみです。

さて、今はプログラミングを生業にしていますが学生のときはなぜか文系の研究室にいて組織論研究に身をささげてきたこともあって、データ分析を生業にしながら、「AIが人の仕事を奪う」とか「AI時代の人材教育」が云々なんて聞くと色々考えてしまいます。

いまや海外から見た日本と言えば、テクノロジー分野の後発が多く、魅力的なイノベーションを生む土壌が弱いような。

いくらプログラミングができてもそれはあくまでツールなわけで、これから日本がAIとかイノベーションの世界で国際競争力を取り戻すためにはもっと根本的な学習と人材の考え方が必要なんじゃないかと思います。

かつて日本が製造業のものづくりで、トップにたっていたのは1980年代くらいまででしょうか。

アナログのものづくりできらりと光ってた国内人材スピリットはどこへやら…デジタル、デジタルって言われて久しいけど、結局アナログ人材は要らんのか。

そんなことないよなぁと思いつつ、徒然にAI時代の人材活用論について備忘録を残したいと思います。

日本のAI実践活用 世界での立ち位置は

東京大学大学院教授兼日本ディープラーニング協会理事長の松尾豊氏は今や日本でAI投資、ビジネスを企てるソフトバンクグループ取締役でもあります。

近年、人工知能(AI)やディープラーニングのビジネス活用については聞かない日はないほどですが、企業における実践的な活用という点では日本は米国、中国と比較して大きく遅れをとっています

そんななかで積極的なディープラーニング(深層学習)のビジネス活用を推進するソフトバンクグループに学術的権威の松尾氏が加わるというニュースは、いよいよ日本におけるディープラーニング活用が本気になってきたという希望を感じずにはいられません。

少し前になりますが2019年6月8日に開催された、Microsoft・Preferred Networks協同運営のディープラーニングコミュニティイベント「DEEP LEARNING LAB(DLLAB)」内での松尾氏の基調講演でも日本国内のAI導入 / ディープラーニング活用は世界的に見ても遅れをとっていることが強調されました。

その背景と今後の改善点として挙げられていた5つの観点は

・小さな成功体験をすること
・AIチーム編成の重要性
・AIトレーニングの必要性
・明確なAI戦略
・内部・外部のコミュニケーション(IR / GR[Government Relations] / 顧客育成 / 人材獲得 / 社内コミュニケーション)の重要性

と明確に述べられており、まさしくと感じる観点ばかりでした。

プログラミングスキルが云々という話ではなく、運用・開発、企画する組織をどう作るかという議論です。

日本企業のディープラーニング活用 苦戦の背景は

上記の5つの課題点に加えて、外資系IT勤務時代にから聞いたリアルな声を総合してみると日本企業の実態は以下のようなのではないかと思います。

AIの導入効果を立証できない(小さな成功体験の不足)→投資を引き出せない・社内理解がない(内部コミュニケーション不足)→AIチーム編成/トレーニングは二の次 →目的設定のないまま「何か」からはじめようとする(AI戦略・外部コミュニケーション不足)→安価なトライアルから始める→検証段階で頓挫→AIの導入効果を立証できない…

この無限ループから抜けたもの勝ちでビジネスが成功していくように思います。これを眺めていると、戦略的AI / ディープラーニング活用のために最初に打つべき手としては
• 投資の確保と適切な投入
• 実践経験豊富なAI人材の獲得

がキーになりそうです。

一点目は、各企業の経営層の手腕だったり、まさしくソフトバンク社「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」のようなファンド事業会社の取り組みだったりが問われるところです。

二点目のAI人材の獲得ですが、ここが国内企業の一番の課題と言えそうです。なぜなら優秀な人材獲得のためには、パフォーマンスを発揮するための環境、社内業務側との連携体制、顧客育成のためのブランディングなど戦略的かつ組織的な見直しを伴うためです。

近年増えているAI人材に「日本企業」を選んでもらうためには多くの課題が残っています。国内の優秀な人材からすると活躍の場は米国、中国、欧州といったテクノロジー先進国にも広がっているからです。海外ではAI人材獲得の前に「育成」という観点からすでに企業各社の戦略が光っています。

ここのところ特に、海外ではiSchoolが人気を集めていたり、「STEM教育」という言葉が注目されたりしているように、多くの学問でテクノロジー思考やデータ活用による論理的アプローチが重要視されており、AI時代に有用な人材を育てる気風があります。

対して、2020年からやっと小学校でプログラミング教育が始まる日本。

「AI=プログラミング」という短絡さもさることながら、数歩先を行く欧米、アジア諸国からAI時代の人材育成の根本から学びなおす必要さえ感じます。

IoT / モジュール化の時代に光るアナログ人材

このように、STEM教育が注目される中で「アナログ人材」もここへきてスポットライトを当てられるべき存在ではないかと思うのです。

ここでいうアナログ人材とはものづくりをハード面でかなえるスペシャリティのこと。

クラウド化が進んで市場は圧倒的にソフト面に偏るように見えても、IoT、ウェアラブル端末によるデータ取得が増える今後、どれだけ小型なハードウェアを作れるかというのは腕の見せ所です。

しかし、近年のデジタル(ソフト)人材の需要の高まりによって市場では圧倒的にアナログ人材が不足しているとか。

結果、電子部品のハードウェア開発のトレンドも複数の機能をひとつにまとめる「モジュール化」が流行っています。

一例ですが、データや通信機器、産業機器、医療機器などの中核としていわば「脳ミソ」の役割をするプロセッサー
これに電力供給をするDC-DCコンバータの例をとってみると、アナログ人材の不足が背景で、回路を構成する抵抗器・コンデンサーなどをまるっとひとつにして時短で実装できるというかたちが流行っているといいます。

これでは、人材不足を受けて、より効率化の方向にものづくりのやり方自体がなびいてしまっているようにも思えます。

作りたいもの、が第一にあり、それを叶えるための組織と戦略がついてくる。日本のものづくりのスピリットは本来こういうところにあったのではと思います。

これからのAI時代における日本の返り咲きは「プログラミングがあーだ、こーだ」と言う前にものづくり、価値創造のこだわりの見直しが必要なのかもしれないですね。(もちろん今後もプログラミングはガンガン学んでいくつもりですが)

まさにこれからが日本国内でのAI・ディープラーニングビジネスの正念場。
各社の投資、人材教育に向けた取り組みには、引き続き注目していきたいものです。

参考: AI活用成功のための「打ち手」を探る

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?