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#27 スティービー・モリスの話

 アメリカのとある片田舎の小学校での話です。理科の授業中、実験で使っていたマウスが逃げてしまい、どこに隠れたのかわからなくなりました。女性の教師はみんなに探させましたが見つかりませんでした。そこで、全員を席に着かせ、自信たっぷりにこう言いました。

「これだけ探しても発見できないのなら、あとはモリス君にお願いしましょう。」


 その途端に、教室のあちらこちらから、「何でアイツが」と言う声が起りました。教室はざわめき、一人が「モリスには無理です。」と手を挙げて言いました。実はモリスは目が不自由な子でした。この発言に対して教師はこう答えました。


「なるほど、確かに彼は目が不自由です。だからモリス君には無理だとみなさんは思うかもしれません。でも先生は知っています。モリス君は目が不自由でも、神様から素晴らしい能力をもらっています。聴力です。それを生かせば必ずマウスを見つけてくれると信じています。モリス君、お願いできますか。」


 そして、モリスは期待に応えて探し出したのです。彼はその日の日記にこう書き残しています。


「あの日、あのとき、ぼくは生まれ変わった。先生はぼくの耳を神様がくれた耳と言って褒めてくれた。ぼくはそれまで目が不自由なことを心の中で重荷に感じていた。でも、先生が褒めてくれたことで、ぼくには大きな自信がついた。」

 このマウス事件から十数年後。神の耳を生かして音楽に道に進んだスティービー・モリスは、シンガーソングライターとして鮮烈なデビューを果たしています。


「スティービー・ワンダー」という名前で。


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 彼は言っています。

「人間には無限の可能性がある。

 あなたは人間ですか?

 ならば、無限の可能性があります。」と……

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