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#50 自分に変えることができるもの、それだけが問題

 経営コンサルタントとして有名な方がある講演の中で「自分に変えることができるものそれだけが問題」と言っていました。

 「自分に変えることができるもの、それだけが問題」ということは、つまり「自分に変えることができないものは、もはや問題ではない」ということです。 ところが、人は得てして「自分に変えることができないもの」に対して「問題だ!問題だぁ~!」と執着してしまうものです。しかし残念ながら、これをどんなに叫んでみても、何も変わることはありません。
 なにも変わらないから、またイライラして、ストレスためて…。この負のサイクルに陥っていきます。
 例えば…「人間関係」などがその典型的なものだと思います。
「なんなんだ! あの人は!(怒!)」と言っている人がいたとします。もしも、その人に「あの人を変えるチカラ」があるのであれば、変えてあげればいいと思います。でも、あの人を変えることなんてできないと思います。だって、自分を変えることだって難しいわけですから…。
 ということは、「あの人があぁ」なのはもはや問題ではないのです。では、なにが問題かといいますと、「自分に変えることができるもの」だけです。

 例えば…
「自分のあの人に対する言葉」
「自分のあの人に対する挨拶」
「自分のあの人に対する表情」
「自分のあの人に対する見方」
「自分のあの人に対する態度」
「自分とあの人との距離間」

ちょっと考えただけでこんなに変えることができるものがあります。

 人の持っているエネルギーには限りがあります。100のエネルギーのうち、もし、変えることができないものに80とか90使ってしまったら、もう残りは20か10になってしまいます。本当は100のエネルギーがあるのに。これはもったいないことです。  その貴重なエネルギーを使うべきは、「自分に変えることができるもの」であるべきです。100のエネルギーを全部、そこにつぎ込むのです。
「変えることができないもの(=相手)」に対する怒りのエネルギーなんかに使っている場合じゃないのです。相手に対して、あなたがエネルギーを全部使って怒ったとしても相手は変わらないのですから。
 ただ…、これは厳しい現実かもしれませんが、たとえ100のエネルギーを全部「変えられるもの(=自分の行動)」に使ったとしても、相手が変わるかどうかはわかりません。でも、変わる可能性はゼロではないことは確かです。少なくとも、「変えることができないもの」にどんなにエネルギーを使ってもなにも変わらないのですから、可能性のある方に注いだ方がいいと思いませんか。
 まずは自分から。自分が変われば相手が変わるかもしれません。

 このよい例として、高校を卒業するある高校生が、「入学が決まったときは後悔だらけであった私の母校、それが、かけがえのない、誇りに思う母校になりました。」と語っていたそうです。おそらく第一志望ではなく、不本意な高校に進学せざるを得なかったのだと思います。でも、不本意で入学が決まった高校が卒業するときには誇りに思える母校になったということです。
 「母校(学校)」は変えることはできません。しかしこの高校生は、この高校に入学した後、しっかり自分が通学するモチベーションを持ち続けて3年間この高校へ通ったのだと思います。そして自分に「変えられるもの」を変えていったのだと思います。その結果、卒業の時には「かけがえのない誇りに思う母校」になったのだと思います。

 「自分に変えることができるものだけが問題」とは、そういう意味なのだと思います。自分の目の前に立ちはだかる問題を環境のせいにしたり、周りの人のせいにしたりするのはある意味簡単なことです。しかし、周りのせいにしても、それはその人にとって一時的な気晴らしくらいにはなりますが、そこから先に向かって何もプラスの要因は生まれてきません。逆にそれを聞かされた周りの人々は、不快な気持ちになったり、その人から引いてしまうものです。
 自分の変えられるものを変えていこうとする人は、成長していきます。でも、環境や周りの人のせいにばかりしている人は、成長していくことができません。

 なぜなら、問題を自分のこととして捉えることができないからです。自分のこととしてとらえることができない限り、そこから主体的に力強く自分の人生を変えていこうとする力は湧いてこないからです。 

 以前、松井秀喜氏が対談している番組を見て、やっぱり彼はすごいなと感動したことがありました。子どものころに野球の試合で負けた日の夕飯を食べている時に、チームメートがエラーをして負けてしまったことを話したら、いつも寡黙でやさしい父親からものすごい剣幕で叱られたことを話していました。 

「友達のせいにするんじゃない!」

 その父親の言葉が彼の魂に刻み込まれたのか、それ以来彼は、試合に負けたことをチームメートのせいにしなくなったと言っていました。私には彼の行動で思い当たるふしがあります。確か松井選手が現役時代にヤンキースでプレイしていた時に、負けた試合後に味方の選手のお粗末なプレイについてマスコミのインタビューでコメントを求められた際に発した彼の言葉が私の記憶に残っています。

 その時、彼が言ったのは、そのチームメートのプレイを非難するようなことではなく、

「ぼくがチャンスに打っていれば、試合に勝っていたはずです。」と、あくまで自分のこととして捉えていたのです。

 メジャーリーグのそれも最高の舞台であるワールドシリーズでMVPを獲得するような彼の活躍の背景には、このような彼の心のスタンスが大きく影響していたことは意外に知られていないことです。


 「常に自分の変えられることに向き合って、変えていこうとする」

 言葉で言うのは簡単ですが、それを実行するのははるかに難しいことです。お互い、頑張りましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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