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#98 「ほう・れん・そう」の「お・ひ・た・し」

 学校や会社と言った組織の中では、よく「報告・連絡・相談(ほう・れん・そう)」が大事であるといわれています。これは主に組織の上の者が下の者に対してある意味「要求」することと言えます。しかし、「ほう・れん・そう」を行うように指示する管理職や上司にマナーや思いやりがなければ、部下は従いたくなくなるものです。「誰があんな上司に相談するものか」となってしまうのではないでしょうか。

 そこで、「ほう・れん・そう」を要求する管理職や上司に対してその心得と言われているのが、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんの推奨する「お・ひ・た・し」です。

「お・ひ・た・し」の内容は以下の通りです。

「お」:怒らない
「ひ」:否定しない
「た」:助ける(困り事あれば)
「し」:指示する

というものです。

「今の上の人たちってこれ全部できてない気がする」

「とても大事な心得」

「これ印刷して上司のデスクに貼り付けたい」

といった共感の声が若い人たちから多く寄せられたといいます。
 「お」「ひ」「た」「し」のポイントは以下の通りです。

【お(怒らない)】
「怒る=感情に身を任せる」行為をNGとしている点が優れています。ただし、相手のためを思って注意する「しかる」は必要です。

【ひ(否定しない)】
 仕事をする上で、上司が部下の意見を否定する場面は少なからずあるもの。しかし、そのような場合でも、冒頭からいきなり否定するのは避け、まずは相手の意見や言葉を受け入れてから自分の意見を伝える姿勢を意識しましょう(イエス・バット法)。こうすることで、否定のニュアンスを和らげることができます。また、受け手側も「否定された」と落ち込まないことが大切。状況をネガティブに捉えない癖をつけましょう。マナーはお互い様。仮に不本意だと思うことがあっても、それをポジティブに捉えることで自身を成長させることにつながります。

【た(助ける)】
 部下を助けるのは上司として当然の役目。しかし過剰に助けすぎると、時と相手によっては部下の成長の妨げになってしまうこともあります。「助けること」と「サポートすること」は別物。いきなり助けるのではなく、部下が悩んだり困ったりしている時は、まずサポートをしてみましょう。その結果を見て、さらにサポートをするのか助けてあげるのか状況判断するのがよいです。

【し(指示する)】
 SNS上でも「指示がない」「適当な指示ばかり」など上司に対する不満が目立ちますが、部下は常に上司からの的確な指示が欲しいと思うもの。上司には、これに応える責任があります。しかし、部下も何でもかんでも「指示待ち」の状態になるのはよくありません。まずは、自分で考えるという自発的な姿勢が大切です。

 『ほう・れん・そう』のように、部下にアクションを要求するだけでは一方通行であり、マナーのある血の通ったコミュニケーションとは言えません。上司も忙しく、自身が抱える仕事で大変なのはわかりますが、職場の内外で、全員がプラスになるよう仕事を遂行するには、マナー(=相手の立場に立つ思いやりの心)が必須だと思います。上司として、部下の気持ちや求めていることを理解してあげる深く大きな心を持つことはリーダーとしても大事なことです。

 マナーとは先手必勝。どちらかが先に心を開いて行動を起こしていくことで、双方に良い結果をもたらします。『お・ひ・た・し』を実践することは、上司が先手を取ることで部下からの信頼に結びつくと同時に、部下の成長が促されることで良い関係の構築、ひいては職場の空気や業績改善につながるという相乗効果が期待できるはずです」(西出さん)

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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