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集団精神療法 理論と実際

出会いと馴れ初め
私が鈴木先生と初めて会ったのは、7年程前のitgip夏のグループだった。第一印象は、髭を生やしたやさしそうなおじいさんというイメージだった。グループの中で「サインをもらうくらい偉人だ」と(いうように聞こえ)言われて、全く無知な私は「でも私は知らないから要らない」と答えたか答えなかったか。でも今ならやはり「サインお願いします!」とタモリさん(ビッグ3)に言うのと同じくらいのテンションでサインをお願いしたいです。


誰にお薦めなのか
グループを知りたい人。治療はどのようにしたらよいかを考える人。
お薦めポイント
私はOTで集団を扱っている。にもかかわらず、同じ集団でも集団精神療法について学校やOTの教科書ではほとんど学ぶ機会がなかった。この本は集団精神療法の基礎から治療共同体の成り立ち、応用までとてもわかりやすい。知識としてただ覚える教科書ではなく鈴木先生の感情体験とともに描かれているから物語を読むような感覚で学べます。


感想
冬、インフルエンザにかかった。勤務している病院の中で今期第一号だった。(名前こそ出ないものの院内会議録に掲載されたから)きっとうわさになるに違いないという怖さがあった。そして今、このような状況の中で少しの風邪症状でもものすごい不安と恐怖に襲われる。すっかり身も心も弱ってしまった。
コロナに限らず、ここにいる患者さん達はいつ再発するかも分かり得ない恐怖と隣り合わせなのか、もしくは常に不安をまとっているか…。そしてそれに伴う周囲との関係への不安。
1つでも、安心して居られる、弱さを出してもいいグループがあったら…。私はそれを創り出す1人になりたい。


印象に残ったフレーズ
相田は「言葉に尽くせないあたたかさや安心感を与えられてはじめて人は己を語り、知る作業に入れるように思う」という。私は知ることの重要性はその周辺にあるように感じる。言葉で知る前にあるいは同時に言葉以外の何かが染みこんでくる。一種サブリミナルな効果とでもいうべきことが起きるのだろう。グループでは特にそうした感じが強い。その人にとってまだ言葉のラベルのつけられていないたぐいの感情体験も、また言葉を介さない雰囲気の影響も、単に情緒、感情に分類することのできないプロセスが知るということの中の大きな部分を占めているように考えるのである。

                                石川 見佳

*本記事は、worksTokyo webサイト Hope this helps に掲載されました。


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