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フィンランドの保育現場から見る難しい言語を学ぶ子供たちへのアプローチ/お口の運動

フィンランド語を聞いたことはありますか?
アメリカの外務省にあたる国務省の「外国語習得難易度ランキング」というデータによるとフィンランド語は習得するのに44週間、1100時間かかるとされる難易度カテゴリー4に入っています。
ちなみに日本語さらに難易度が高いカテゴリー5に入っています。*1

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難易度の高い言語圏の子たちの言葉の発達と幼児教育
フィンランド語も日本語も習得は簡単ではありませんが、子供たちは自然と周りので話されている言語を理解し、話せるようになりますね。
日本では未就学児でも自分の名前を漢字・ひらがな・カタカナで書けたりしますね。4-5歳のクラスではほとんどがひらがな・カタカナがすらすら読めるのではないでしょうか?フィンランドでは小学校から読み書きを本格的に練習し始めるので読み・書きの時間は特別には取ってはいませんでした。ちなみにフィンランド語が母語の子どもたちの言葉の発達は下の表のようになっています。

BLOG 図

(資料:  本Lapsesta kasvaa kaksikielinen, S. Hassinen. 86より日本語にしたもの)


子どもの言語発達を促進させるための遊び・活動を
保育園・幼稚園の時間の中で取り入れていますか?

日常的に主に2つの言語に関する内容の活動行っていました。
・口腔体操
・音節リズム読み


私が見たフィンランドの子どもとする口腔体操を紹介します。

Herra Kielinen/ 舌おじさん
自分の舌を舌おじさんに見立てて、先生の話す舌おじさんの物語に合わせて舌を動かす練習をします。物語の内容は特に決まっておらず、先生が子どもに練習してもらいたい動きを基に内容を変更していきます。
【人数】
5人ぐらいが理想ですが、何人でも可能
【実施に好ましい場所】
どこでも
【必要な物品・設備」】
特になし
手鏡を見て舌の動きを確認しながら行うのもよいです。
【実施方法】
① 参加者に自分の舌を"舌おじさん"として捉えてもらいます。
名前は"舌おじさん"でなくても構いません。
先生がクラスの雰囲気に合わせて自由に考るのもいいのかもしれません。
② 子どもたちに"舌おじさん"がいますか?と聞き、子どもたちに舌を自由に動かしてもらい準備運動をしてもらいましょう
③先生は1文言うごとに、どのように舌を動かすのか見本を見せます。
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今回は<舌おじさんの大掃除>を紹介します。

<舌おじさんの大掃除>
♪舌おじさん、ほうきでごみをはきます。みぎ、ひだり、ひだり
 口を開け、舌を左右に動かします

♪舌のおじさん、窓掃除、みぎ、ひだり、みぎ、ひだり
 舌で窓=歯を舌でなぞっていきます 

♪舌のおじさん、壁もお掃除、うえ、した、うえ、した
 頬っぺたの内側を舌で掃除していきます

はい、完成!
・・・・・・・・・・・・


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これはフィンランドの小学1年生のクラスの黒板の写真です。
全ての単語に音節のところに線を入れて書かれています。特別支援が必要な子のクラスではなく、普通のクラスです。フィンランドでは小学校に上がるまで読み書きが出来ない子どももいます。幼稚園でもこの音節で区切る書き方をしています。また、音節に合わせて手を叩きながら話すこともしていました。リズムを取りながら話すというところは日本と少し違うかもしれません。

日本語のカタカナ・ひらがな・漢字と他の言語にはない3つもの書き方を学ぶために、他の国で練習されることが時間不足で出来なくなっているのではないかと考えられます。フィンランドでよくどうやって日本語を勉強しているかと聞かれることがあります。フィンランド人にとってこんな難解な言葉を話せるようになるには何かフィンランドでは使ってない方法があるのではと思っていたようです。私は日本でこの音節で切って話す方法や舌の使い方を習った記憶はありませんし、話す力を学んだ記憶もありません。

日本語の習得難易度がとてつもなく高いにも関わらず、幼児教育の世界では"書く"読む"の部分に焦点を当てすぎているのではないかとも考えられます。フィンランドでは逆に子どもの"話す力"にもっと焦点を当てているようです。

1月24-25日にある教育イベントEDUCAには音楽メソッドを使って、幼児教育で言葉の発達を支援している団体、Laulauが参加するそうです。フィンランドでこのメソッドがどのように使われているか見てきたいと思います:) 

↓Laulau oyの情報はこちらから↓
https://www.laulau.fi/


・・・・

参考資料
*1 https://nazology.net/archives/852
https://manabi-with.shopro.co.jp/manabico/639/

Hassinen, S. 2005. Lapsesta kasvaa kaksikielinen. Helsinki.  Oy Finn Lectura Ab

https://educa.messukeskus.com/


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